NOVEL | ナノ

 お気に入り

言い切って、ドロドロと渦巻いた想いも全て整理しきったつもりで、ふっと力を抜いたときだった。

音もなく衝撃がやってきて、一瞬の後に頬がかぁっと熱くなる。

敦が僕の頬を打ったのだと精確に理解したのは、5秒ほど経ってからだった。

その数秒間、敦は(僕以上に)信じられない、という顔をして、引き結んだ唇を震わせていた。

「あつ、し」

口内はそれほどダメージを受けていない。
鉄の味のしないことから考えると、相当加減して手を出したのだということは想像するに難くない。
けれど、それでも大きな手。逞しい腕からの、それに見合った相当な一撃。
じんわりじんわり広がっていく熱さが、涙腺と胸の奥をまとめてぎゅっと握り潰しそうな勢いで伝わっていく。

何故彼が突然怒ったのか本当に分からない。

何が敦の琴線に触れたのだろう。

考える度涙腺が刺激されて辛い。
呆然とする僕を抱きしめたりすることもなく、向かい合った紫原は酷く真剣に僕の両目を覗き込んだ。
僕の両の掌は、紫原のそれにがっしりと捕らえられ、まるで正気を取り戻せと体を揺さぶられているような錯覚に陥る。
実際のところ、彼はただ僕の目を覗き込んでいるだけなのだけれど。

そう、ただ、…酷く、悲しげに。

(あつし、)

呼びたい(呼ばれたい)。呼びたい(愛されたい)。けれど、それが許されるか分からない。
きっと、今となっては僕は取るに足らない存在だ。
不敗でもない、常勝の肩書もない、ただの僕。
その僕が、君の名を呼んでいいはずがない。君に名を呼ばれていいはずがない。
そんな不安が渦を巻き、みるみる僕を飲み込んで、深い、深いところに引き込んでいく…、

「…っ、何で、そんなこと言うの…!!!」

その瞬間、力強い声音に聴覚が条件反射し、びくっと体が揺れる。

敦の声は耳元で大きく散乱した。キーンという鋭い音にはならなかったが、わんわんと反響を繰り返す。
耳鳴りに気を取られていたら、思考の最深部へと引き入れられそうになった僕の体はふわりと浮かんで、いつの間にか元立っていたところへと戻されていた。

不安と焦りがごちゃ混ぜになった、暗黒色の渦潮から僕を引き上げたのは、他でもない彼だった。

必死な僕に負けないくらい必死な顔で、僕の目を見つめて言う。
その紫陽花色の瞳は心なしか震えている。不安げで、とても寂しそうだ。
寂しそうな色のまま、敦はゆっくりと、諭すように言う。

「…って…、…俺だって、着れなくなった服とか、いつか、…捨てるよ…。
すごい汚れちゃったり擦り切れちゃったりしたら、雑巾とかにして、そのうち、捨てるよ…?」

「敦、」

呼んでも許されるのか、そんなことは分からないまま何とか紡いだ君の名前は、君の耳に届くと即座に両のアメジストを潤ませた。

「赤ちんっは、さ…消耗品なの…?汚れたら、いつか捨てられちゃうみたいな、使い捨て、なの?」

あ。と。
理解は唐突に訪れた。
彼の言いたいこと、敦の心持ちに、ようやく考えが到達出来そうになる。あと少しだ、出来ればもう少し逡巡したい、敦の気持ちを静かに考える時間が少しだけ欲しい。けれど、敦は言葉を止めようとはしない。
だから代わりにとめどなく溢れてくる敦の想いの糸を、僕は一本一本手繰り寄せることにした。
僕が黙って見つめるのを恐らく感じ取っているのだろう、敦は一語一語大事に口に出す。彼は普段人の感情の機微にはあまりにも鈍く、だが時に、どこまでも聡明だ。僕の思考など、今の彼には細部までお見通しなのだろう。
敦は、自分を大事にするのが苦手な僕に、精一杯言い聞かせるようにして言った。

「…違うし。違うし。違う…、違うよ…!赤ちんは、…俺にとっての赤ちん、は、ね…?お気に入りの洋服なんかよりもっともっと、ずーっと、ずーっっっと、比べ物になん、ないっ、くらいの、すげー大事なの、なんだよ…!!!」

ひくり、ひくり。

言いながら、半ば叫びながら、敦の目元に水滴が溜まっていく。
普段は気だるげに開けられていることが多いけれど、思わず見惚れてしまうほどの美しい目をしている。何度時を忘れたか、何度魅入られたことか。
それはいつか溜まって、きっときれいなきれいな涙粒となって、君の頬を伝うのだろう。

「その俺の気持ち、消耗品に向けてる感じのだって、思ってた、とか…、…俺、…赤ちん…」

2つの宝石から流れ落ちる清らかな水脈を見る前に、僕の視界はぼやけてしまった。

「ごめん、赤ちん…ごめん、」

怒っ、て、。怒ったり、して、。赤ちんに手なんか上げて…俺…最悪…
俺、本当は、赤ちん、大事にしたいのに、ごめ、

「、」

その単語が君の口から告がれる前に、ぼやける視界を何とか解析して、薄い桜色の唇を人差し指で捉えた。そのまま今度は、こちらから言う。

「ごめん、…ごめん、」

今のは、俺が、悪かった。

「ごめん、」

敦に。

こんなに、大事にされているのに。

誰よりも深く深く深く愛されているのに。

そんな自分をないがしろにすることは、君の精一杯の思いごとゴミ箱に投げ捨てることだと、そのとき初めて思い至った。
配慮のできない、人の意を汲めない、とは普段君が頻繁に称される言葉だけれど、それはそっくり、自分にも結び付くのだということも今日、初めて覚った。

「…敦、」

「っ、?」

名を呼ぶと、びくりと震える肩。普段は広く力強いシルエットを作り出すそれが、心なしか小さく竦んでいるように見える。
そして、継続する不安そうな瞳。
菓子を食べ過ぎだと咎められたときとは違い、心底申し訳なさそうな表情。

段々とクリアになっていく視界が紫陽花色を認識すると、僕の口角は自然と持ち上がった。

「すまない、」

恐る恐る視線を上げた(彼の頭の位置の方が上にあるのだから、その表現は正しくはない。しかし、どうしてもそんな風に見える、不思議な上目遣いが敦は得意だ)先に、僕の場違いな微笑みがあるものだから君はそれこそ混乱して、目を二度ほどぱちぱちとさせる。
やはり、仕草のあらゆる部分が未だ子供っぽい。
そしてこの上なく、愛おしい。

「赤ちん、?」

「敦、…僕は、」

大丈夫だと、自分に言い聞かせた。

(僕が、何かを望んでも、)

それでもどうしても不安になる心の内は、…敦の声が支えてくれている。
僕の望みは、ごく自然に外へと飛び出ていく。憚り知らずとは正にこのことのような気がするけれど、構わなかった。
図々しいとは思う、考えなしのような気もする。
…だが、もう、敦の前に、僕に隠すべき感情などない。

「敦が、好きだよ、」

だから、

「僕は、」





「他のどんなものより、いちばんの…、敦のお気に入りでいたい。」





僕の横、敦はベッドに腰かけ向き直ると、ひょいと音がしそうなほど軽々と僕の体を抱き上げ、覆い込むように抱き竦めた。その動作は慌てているようでもあり、僕が敦に包まれてしまうまでにかかった時間は数秒どころか一瞬だ。
…高校に入って、僕だって身長は173cmまで伸びたのに。鍛えているから筋肉だってある、体重だってそれに見合った分…その辺の女子に比べたら重いはずだ。
なのに、敦は易々僕を膝の上に乗せ、もっと精確には全身ですっぽり抱き込んで涼しい顔をしている。
そして僕の首もとに顔を寄せ、何事か呻くのだから、少し擽ったい。
敦の心臓も、僕の心臓も、拍動がいつもより速くて強くて気恥ずかしい。

「…もー赤ちんてば…本当に色々苦手なことばっかなんだもん、室ちんみたーい…」

「…」

持ち出されたその名には聞き覚えがある。敦の先輩、氷室辰也のことを指すあだ名。
敦のつけるあだ名は特殊だ。語尾にだけ統一性があり、それ以外は決まりもこだわりもない。事実、本人に嫌がられたからと桃井のあだ名は途中で変わっている。
初期設定での使い分けは彼の中でも明確な理由はないそうだけれど、室ちん、というその響きに、僕らの先達であり頼れる兄貴分、虹村先輩への愛称が見え隠れする。
(村ちん、今日の練習鬼畜すぎ〜〜〜!)
それほど心許した相手なのだろう、と電話口ではいつもそう思いながら聞いていたけれど。
だが今は、どうやら彼を反面教師に、僕は諭されているようだった。

「欲しいのとか、したいこととか、…うん…今まで色々、諦めてきたんだよね、…多分、いっぱい。
言いたいこととかすぐ言っちゃう、俺みたいなわがままなのと違うんだよね。」

「…自覚はあったのか…?」

紫原から出た自戒ともとれる発言があまりに意外過ぎてついそんなことを口にしてしまい、「あ、赤ちん酷ぇーしー!」と返される。

「っ、すまない、ごめ、…、…?…敦?」

慌てて謝罪の言葉が口をついて出る。
本当は咄嗟の言葉だけでなくしっかり目を見て謝りたいのだけれど、何分がっちりと抱き込まれてしまっていて身動ぎ程度になってしまう。
敦は体の動かせる範囲でじたばたとする僕を離さず、小さい子を落ち着かせるようにぽんぽんと頭を撫でた。
恐らく無意識なのだろうが、そんな何気ない行為がたまらなく僕を安心させる。それが僕にはたまらなく嬉しくて。
だけれど紫原だけが一人、大人のようでもあり。
…何だか悔しいので黙っていることにした。

「うーぅー…ん…まあ、ね、…いや、それ本当のことだし、いーけど。」

「…」

「…つまりさー…。うーん、…、だからそーゆーの苦手なの、…分かるよ…あ、本当に本当のとこは、分かんない、かもだけど、…分かろうって、頑張って、みたんだ、俺…あれから、」

あれから、が、いつからを指すのか。
敦は言わなかったけれど、今の僕には痛いほど分かる。
それはもしかしたら僕が謝るところではないのかもしれないけれど、…それでも、いつか、いつか、話さなければならない日がくると思っていた。
ただ、そう思い至ったのはつい昨日のことだから、正直に言ってまだ心の準備が間に合っていない(というのは、言い訳だろうか?僕はまた君に甘えているのだろうか)。

…あれは、僕にとっても予想していた結果なんかじゃなかった。
逃げて逃げて、自分を脅かすものからこんなにも長い間身を隠して、逃げて…自分がまさかそんなに弱い人間なのだとは思ってもみなかったから。
他でもない自分自身のこと、何もかも分かっているはずの僕でさえこんな状態なのだから、彼に至ってはもっと混乱を来したことだろう。
彼にしてみれば、いつものように練習は面倒だと感じて(それは彼の生来の性分だから)、いつものように小さなワガママを言ってみただけなのだ。
だがいつものそれが、あのときばかりは思いもよらぬ結果を招くことになってしまった。

類稀なる才能を秘めた彼が成長過程にいたあのとき。ちょうど過渡期に入りかけ、彼自身が、…いや、敦だけじゃない、キセキの世代と言われた僕らが全員が、まだ獲得しつつあった能力に手探り状態でいたあのとき。
テツヤだけは警鐘を鳴らしてくれた、だがそれにも彼自身の覚悟の問題と突き放し、一人ずっと耐えさせてしまった。
まとまっていたチームを瓦解させた原因は、全て僕にある。責めを受けるべきは僕以外にはない。
けれど結果としてあの一件を引き起こしたともとれてしまう紫原もまた、少なからず苦しんだことだろう。

一度、真太郎に言われたことがある。

(青峰のことは分からない。…だが紫原はまだ、お前の言うことなら聞くはずだ。)

(…あいつは人一倍意地っ張りで、恥ずかしがりだから、ただ引っ込みがつかないだけなのだよ。)

(それを何故、放っておく?)

その言葉にも、全く耳を貸さなかった。

(問題ない。そんなことをしなくても、あいつ自身は十分強いよ。勝ってくれさえすればそれで良い。)

(元々縛られることの嫌いな奴だ。無理に縛ることもない。)

僕はそう言って、笑いながら敦のまだのびやかで柔らかな心に、深々と槍を突き刺した。返しの付いた、一度刺さると抜けない槍だ。そして深く突き刺さったその柄から伸びる見えない鎖で、彼を雁字搦めにしていた。
自由に動くことも、それならばと僕の指示を仰ぐことも出来なくなった君が、苦しまなかった訳がない。

今更ながらに直視した現実に愕然とし、身体中の力が抜けるような錯覚に陥る。咄嗟に指先だけ動くのを酷使して敦のTシャツをキツく握りしめると、そんな僕の様子を分かったのか、「赤ちん?」と気遣ってくれる声が愛おしい。

「ごめ、、」

掠れた声が出る。
構わず謝ろうとするのを紫原は遮って、器用に僕の口元に唇を寄せた。

「言っちゃだーめ、」

赤ちん何も悪くねーし。

あれは、俺が、…ダメだったんだし。

えへー、さっきのお返し。…赤ちんも、謝っちゃ、…ダメだし。

「、…ね?」

続いた敦の言葉は意外なほど落ち着いていて。

「敦、」

愛しい君の名を、だが敦とは対照的に語尾を震わせながら僕は呼び、思った。
これから、乗り越えていけるのだろうか。
良くも悪くも思い出いっぱいのあの過去を、ではない。過去は乗りきったもの、既に過ぎ去ったものだ。
…そうではなく、これからを。
困難も理不尽も、辛いことも、苦しいことも…まだまだたくさん、待ち受けていることだろう。そんな未来に希望を描き、築いていくことが出来るのか。
この感じ、漠然としたこの不安感には覚えがある。ちょうど”あの頃”の僕らが抱き、そして、抱えきれなかったものだ。
技能の進化、身体能力の向上、アクセルは全開にされ、前に進まなければいけなかった。道なんて見えないのに、真っ暗闇なのに、ブレーキをかける術は誰一人として知らず、それを教えてくれる存在もまた、いなかった。
そしてようやく視界の開いた頃、行き着いた先は皆別々だった。
僕は京都に、敦は秋田に。
仲の良かった大輝とテツヤは袂を別ち、真太郎も涼太も各々の道を歩んでいた。大輝についた桃井は、彼の変わりように心を痛め続けた。
僕は、その状況を好ましいとさえ言った。

あのときと、同じ感じ、が、





だけど。

「赤ちん?」

「、ああ…、」

それでも、今は少しだけ。あのときとは違うような気がしている。
幻想だろうか、妄想だろうか気のせいだろうか。そうかもしれない、だが、絶対にそうだとは言い切れない。
いつだって無限の可能性を期待されてきた僕たちは、僅かな可能性を拾うことにとことん不慣れだけれど。

これから先、自分たちが歩むべき道に、ようやく僕らは気付き始めている。

少なくとも僕は。

だとしたら、敦も…。





「…時間は、かかる、かも…しれない、」

ゆっくりと告げる僕を、焦らすことなく急かすことなく待っていてくれる。
…そんなことを言ったら、敦はもうずっと、ずっと前から、僕のことを待ってくれていたのだけれど。

独り、寂しさに耐えながら彼は待った。
今更思い至ったその事実に、後悔の念が押し寄せる。
照れ隠しもあって、僕は敦の広い胸元に顔を埋めた。

「でも、…敦が、好きだって、言ってくれる…愛してくれる、とても大切に思ってくれている。それは分かっているし、感じるよ。だから…」

「赤ちん、…」

言葉を折ってしまわないようにと、気を遣って。
それでも自分の名を呼んで支えてくれる、愛しい愛しい、君の声。
繋がった肌から、力強い拍動が聞こえてくる。

「それに、ちゃんと応えられるようになりたい。…知りたいんだ、」

「、」

恐らく、見開かれているであろう目に、詰めた息。少し身構えた肩。
僕の意識の到達点。

「教えて、くれないだろうか、?、俺に、」

愛され慣れない、慣れなかった俺に、

一から、最初から、誰でもない他でもない、敦からの、

「愛され方、」

(赤ちん、)

ふわりもう一度、僕の名を呼ぶ敦の声を聞いた気がした。
それが僕の想像の産物なのか実際に彼が言ったものなのかは分からないが、それは大した問題ではなかった。
唯一無二の必要十分条件は、敦が僕の前にいてくれることなのだから。





世界中のどんなものより、君のお気に入りの僕でいたいんだ。

他の人じゃ駄目なんだ。誰より”君の一番”で在りたい。





お気に入り





そう言ったら、君は僕の体をぎゅっと引き寄せて叫ぶように言った。

「そんなこと言わないの〜〜〜っっっ!赤ちんは、そのまんまで、」

「…敦、」

「そのまんまで、俺の一番なの俺の一番のお気に入りなの一番好きなの!」

(俺で、良いの?)

(赤ちん、が!良いの。赤ちんが、大好きなの!)

…そうかっこよく言い切った後なのに、そこで不意に敦は声のトーンを下げた。
(せっかくかっこよかったのに、そんなんじゃ決まらないじゃないか?)
まごまごと言い辛そうに尋ねられた言葉に、照れ隠しを含めて揶揄しようと笑いかけたとき、一際真剣な声音が僕の鼓膜を震わせる。

(赤ちんは、)

「俺、なんかで、良いの…?」

からかおうなんて、ましてや、拒絶する気持ちなんて。

「うん、」

僕には、皆無だ。

「僕も、敦じゃないと、嫌だよ…敦が、いい」

さて、僕の方はかっこよく言えたのだろうか?
可愛さなんてあざとさなんて、恐らく持ち合わせないだろう技量は発揮できなかったと思う。
…思うのだけれど。言い切ったその瞬間、僕を抱く敦の腕に一層力が入る。
骨格も筋肉も、幸いにも丈夫に鍛えられてはいるから抱き潰されはしなかったけれど、身動きが取れないレベルを少しだけ超えた、長丁場になれば息苦しさを覚える程度の力加減。

「…、敦…っ、ちょっと、苦し、」

「…だーめー、ほっとくとすーぐ赤ちんめんどいこと考えちゃうから、最初っからこ〜しとく〜!」

「、敦、」

「…そしたら、赤ちん、いつでも、愛されてるな〜って、感じてくれるでしょ〜?」

この体格差で、あんまり強く抱くものだから、正直少し苦しかったけど。

聞こえてくる心臓の音が心地よくて、

「ね?どーぉ赤ちん?赤ちん専用の敦くんだよ〜?」

なんて。…追い打ちなんてワザ、いつどこで覚えてきたのか知らないが、そんなことをしなくても。

そんなもの、とっくに、

「敦、」

「なぁに?」

「…大好きだよ、」

独り占めしている、独り占めされているこの感覚に、

「俺も。赤ちん、大好き」

僕は、今度こそ、心の底から幸せだと感じた。

end.
13.09.04. 紫赤ちゃんの日に。

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