赤龍編
「赤龍…貴方が好き」
ヒロインはそう言うと、赤龍の手を取る。
「!ヒロイン…」
赤龍は一瞬、驚きの表情を浮かべていたが、直ぐにそのままヒロインを抱き締める。
「…ありがとう、ヒロイン。お前を二度と、離したりしない。…愛してる」
「此方こそ、ありがとう赤龍…私も愛してる」
ヒロインの旅は、赤龍に出会ってからが本当の旅になっていた。
彼にほぼ一目惚れし、彼に抱かれたい、その一心でヒロインはここまで来れた。
赤龍がいなければ、ヒロインはここにはいなかっただろう。
「…赤龍」
黙って事を見守っていた青龍が、ゆっくりと口を開く。
「…ヒロインを泣かせたら、この俺が奪いにいく、良いな」
「…ええ、心得てますよ、兄上」
兄弟は笑顔で、そう言葉を交わした。
「ヒロイン、俺はここで魔王ではなく神として、世界を治める。…幸せになれ」
そう言った青龍の微笑みは、とても優しいものであった。
「青龍…っ、ありがとう…!」
青龍の自分への想いは、本当に嬉しかった。
そんな彼にヒロインは、心からお礼を言うのであった。
「…父上、母上」
赤龍は父と母に向き直り、口を開く。
「兄上が神の意志を継ぐのであれば、安心してここは任せられます。私はヒロインと共に、地上へ降り二人で生きていきます」
「…うん。私は何も言わないよ。息子が選んだ道だ。胸を張って生きていきなさい。赤龍、ヒロインを大事にするんだよ」
「はい」
父の言葉に、息子ははっきりと返事をする。
「…赤龍、偶にはヒロインと帰ってきてね。ここは紛れもなく、貴方達の家なのだから」
「母上…ありがとうございます」
「ありがとうございます…!」
ヒロインの事まで気にかけ、優しく温かい言葉を掛けてくれる二人に、彼女は胸が熱くなるのを感じる。
「クク、戻って来た際はヒロインはこの俺が貰うぞ、赤龍」
「…絶対渡しませんよ、兄上」
青龍と赤龍の間には、火花がパシッと散るが、それでもやはり、その空気は和やかなものであった。
赤龍はヒロインに向き直り、再び手を差し出す。
「…ヒロイン、行こう」
出会った頃では考えられない優しい彼の表情が、そこにはあった。
「…うん、赤龍…」
ヒロインもゆっくりと、彼の手を取る。
「父上、母上、兄上、では、私はこれで」
「うん、気をつけて行くんだよ」
「二人とも、いつでも帰ってきてね」
「ありがとうございます」
ヒロインが神と女神に答えると、青龍が口を開く。
「ヒロイン、赤龍に泣かされたらいつでも戻って来いよ?クク、俺が慰めてやる」
「っ…」
いつもの自信満々の青龍が、そこにいた。
「…行くぞ」
赤龍はヒロインの腕を掴み、そのまま青龍から離れていく。
そして、二人の姿はそのまま消えていった。
「…行ってしまったね」
「ほんと、息子と娘をもっと見ていたかったわ」
「…それより、父上、母上、魔王が二度と現れん様に対策を」
先程とは違う、次期神としての表情が、そこにはあった。
「青龍、うん、そうだね」
「ええ。三人で頑張りましょう」
「ああ。…二度と、ヒロインがいる世界を壊させたりしない」
愛しい存在の彼女がいたからこそ、青龍も変われていた。
二度と魔王が現れる事が無いよう、ヒロインを悲しませる事が無いよう、青龍は神としての礎を築くのであった。
「…そうか、魔王は滅んだか」
髭の生えた気品佇む老人は、和やかな笑顔を浮かべていた。
「お祖父様、何故力を使おうとしなかったのですか?」
吸血鬼が襲ったこの街で、赤龍と青龍の祖父、先代の神は床をすえていた。
吸血鬼を倒す為の太陽の石の事を教え、青龍に受けたヒロインの怪我を治したのも、先代の神の力であった。
魔王を倒した事を報告する為、赤龍はヒロインを連れこの街に来ていた。
「わしの力なんぞ無くても、赤龍、そして勇者であるヒロインの力があれば、必ず魔王を倒せると信じていたからじゃ」
「おじいさん…い、いえ、神様…」
「おじいさんでええ。あんたからは、そう呼んで貰える方が嬉しいんじゃ。何せ、孫の大事な人じゃからの」
そう言った先代の神の顔は、神としてではなく、一人の気の優しいおじいさんの顔であった。
「あ、ありがとうございます…!」
ヒロインはそうお礼を言いながら、彼に感じていた高貴な雰囲気の正体がやっと分かったと、実感出来た。
先代の神ならば、ヒロインの怪我を治す事など当たり前に出来る力であった。
「…赤龍よ、今はとても良い顔をしておるな」
祖父は、孫の顔をマジマジと見、微笑む。
「…そうですか?」
「うむ、大切な者の存在が出来たからこそ、その様な優しい表情が出る様になったのじゃろう。幼い頃見たお主は、いつも仏頂面をしておったからのう」
「…」
「ふふ」
幼い頃の赤龍を何となく想像する事が出来、ヒロインは思わず笑ってしまう。
「…赤龍よ、わしが何故神の座を降り、ここ人間達の住む地上界へ降りたか、今なら分かるじゃろう?」
じっと赤龍の顔を見やりながら、祖父は彼に問う。
「…はい。お祖母様と一緒に過ごす事を優先されたのでしょう?」
赤龍の答えを聞き、ヒロインは彼の祖母が人間であると理解した。
「そうじゃ。…わしは彼女を愛しておった。だからこそ、わしはお前さんの父に神の座を譲り、わしはここで彼女と生きる道を選んだ」
ふっと、赤龍の祖父は街に流れる川を見つめる。
「彼女はもういないが…わしの中にいつまでも生きておる」
「おじいさん…」
その言葉の意味を理解し、ヒロインは小さく呟く。
「太陽の石も、氷の宝珠も、わしが作った。彼女に贈る為にな。それを悪の者が悪用するなど…思ってもいなかった。ただ彼女に喜んで貰う為に作っただけじゃった…」
おじいさんの最後の方は、小さな声であったが聞き取れていた。
彼もまた、悪事に使われそうになった事に心が傷んでいたのだろう。
「…お祖母様も幸せだったと思いますよ。お祖父様に愛されて。氷の宝珠も、太陽の石も、その二つがあったからこそ、私達は魔王を倒す事が出来たんです。…感謝してます、お祖父様」
「赤龍…!」
孫の言葉に、祖父は涙を浮かべていた。
ヒロインもじんと、胸が熱く温かくなるのを感じる。
「一緒に、この世界を見守りましょう、お祖父様」
「うむ…そうじゃな…。愛する者のいる、この美しい世界をな…」
孫と祖父は、お互い手を差し出し、ぎゅっと握る。
何十年振りかの、孫と祖父の再会であった。
「では、私達はこれで」
「おじいさん、お身体に気をつけて」
「うむ。ヒロインも、赤龍も幸せになるんじゃぞ」
「はい、ありがとうございます!」
ヒロインは元気に、赤龍の祖父に返事をした。
「…ヒロイン、掴まれ」
赤龍が優しく、手を差し伸べてくれる。
ヒロインが笑顔でそれを取ると、二人の姿は消えていた。
青龍が使えていた瞬間移動の魔法は、赤龍にも使う事が出来ていた。
「…赤龍、ヒロイン…ありがとう」
居なくなった二人の姿を見守りながら、孫と孫が愛する者の幸せを願い、赤龍の祖父は呟いたのだったー。
「…」
ヒロインと赤龍は、墓前の前で手合わせていた。
(お母さん、お父さん…聡…魔王を倒したよ。みんなの仇も取れたよ。…私に力を貸してくれてありがとう)
ヒロインが魔王を倒した魔法は、青龍に抱かれた事で使える様になっていたが、ヒロイン達の両親や村の人々が力を貸してくれたのは事実であった。
(どうか…私達を見守っていてね、お母さん、お父さん…)
ヒロインの瞳に、涙はもうない。
心の中で、両親や村の人々は生き続けているのだから。
「…よしと」
「もう良いのか?」
立ち上がるヒロインに、赤龍が言う。
「うん、お父さんとお母さん、村の人達にきちんと報告出来たから」
「…そうか、きっと喜んでいるだろう」
「うん…」
ヒロインは頷き、荒れ果てた村を見渡す。
そして、荒れ果てた村の中に、所々花や草が咲いているのが目に入る。
「前は生えてなかったのに…。きっと、また村は復興出来るわ。…ううん、復興させてみせるわ」
「ああ。俺とお前で、元の美しい村にしよう」
「ありがとう、赤龍」
二人の間に、和やかな涼しい風が吹いていく。
ヒロインと赤龍は手を握り合うと、復興への道を進み始めていくのであった。
「ざっとこんなものだろう」
「す、凄い赤龍…」
二人の住む家が無くてはどうしようもないと、赤龍はまず家を作り始めていた。
たった僅かの間に、村にあった木材などを集め、手際よく作り、あっという間に二人の新居が出来上がっていた。
「ね、ねえ、どうやってこんな素早く作ったの?」
「火の魔法を上手く使った、それだけだ」
綺麗に切られた木材の破片は、火の魔法で切ったのか、破片一つ落ちていない。
ヒロインはただただ、赤龍の器用さに驚きを隠せずにいた。
「どうだ、中も良いだろう?」
「うん、素敵…」
新しい木の匂いに包まれた家は、二人を温かく迎え入れる。
「俺とヒロイン、俺達二人の家だ」
「うん、そうだね。嬉しい…」
ここで赤龍と二人で過ごす事が出来る。
考えただけでも嬉しい。
「ヒロイン」
赤龍がヒロインの背後に歩み寄ると、そのまま彼に抱き締められる。
「…正直、お前が兄上を選んでいたら、俺はどうかしていたかもしれない。それ程お前は…俺の中で大きな存在になっている」
「赤龍…」
首元に回された赤龍の腕に、ヒロインはそっと触れる。
「私は赤龍が好きだよ。貴方に一目惚れしたから…貴方について行きたくて、無我夢中で付いて行った。嫌がられても、下僕でも、それでも赤龍と一緒にいたかった」
最初に出会った時、赤龍の印象は最悪だった。
美青年なのに、性格は冷たく、ヒロインの事など全く興味がなかった。
やっと一緒について行けたとしても、下僕扱いで、とても対等に接してはくれなかった。
「…そうだな。最初はしつこい女としか思っていなかった。…だが、お前は危険も顧みず俺を吸血鬼から助け、いつでも俺の側にいた。いつの間にか…お前は俺にとってなくてはならない、大切な存在になっていた」
赤龍はそこまで言うと、更に力を込めヒロインを抱き締め、耳元に唇を寄せる。
「愛してる、ヒロイン…お前は俺のものだ…誰にも渡さない」
「っ…赤龍…」
赤龍の低く囁く声が、ヒロインの官能の渦を刺激していく。
「ヒロイン…」
赤龍はヒロインの名を呟きながら、彼女の首元で組んでいた両手を解放する。
そして、ゆっくりと下へと両手を下げていき、直ぐそこにあった大きな膨らみを見つけ、そのまま掌で包み込んでいく。
「ぁ…っ、赤龍…っ」
ヒロインの頬は真っ赤に染まり、声を漏らす。
膨らみを包み込んだ赤龍の両手は、そのままぐにゅりと指を食い込ませながら捏ねるように揉み始めていた。
「あ…っ、赤龍…や…っ」
ヒロインは首をふるふると横に振り、自分の乳房を揉む赤龍の両手に自分の手を重ねる。
「嫌じゃないだろ…?俺に触れさせろ、ヒロイン…ずっとお前に触れたかった…」
「ひゃっ!あ…っ」
耳朶にチュッと音を立てキスをされ、思わずビクンと身体を跳ねらせてしまう。
ヒロインが感じたその隙に、赤龍の両手が再び動き、服の上から円を描く様に揉みだしていく。
「お前の胸は…いつ触れても柔らかいな」
耳元で囁きながら、赤龍の乳房を揉む手は動きを強め、弱めたりし、確実にヒロインの官能の渦を刺激していく。
「ぁっ…あぁ…ん。い、いやっ!」
「ッ?!」
ヒロインは力を振り絞り、赤龍から抜け出していた。
彼は驚きの表情を浮かべ、彼女を見つめていた。
「ご、ごめん赤龍…。ほ、ほら、買い物とかしてこないと食べるものも無いし。…砂漠の村、赤龍と初めて会った村…あそこまでちょっと買い物行ってくるね!」
赤龍の返事も聞かず、ヒロインは家を飛び出していた。
「…私、何してるんだろ」
以前通った旅道を、ヒロインは再び一人で歩いていた。
「赤龍に触れて貰いたいのに…赤龍に抱かれたいのに…。私が一番望んでいた事なのに…」
ヒロインは呟きながら、自分の気持ちを整理する。
赤龍に抱かれる事は、ヒロインの旅を始めてからの夢であった。
ここで初めて赤龍と出会った頃は、彼が自分を好きになってくれる事などあり得ないとさえ考えていた。
だからこそ、今こうして赤龍と一緒に居られる事が現実なのか、それとも夢なのかとさえ思ってしまう。
「赤龍は神様の息子…私とは違う。でも、私を好きになってくれた。彼に触れて貰いたいのに…夢だと思っちゃう…」
魔王を無事に倒し、赤龍のいた神の国に行き、今こうしてここにいる。
全て夢なのではないか、ヒロインはそう思えてならない。
だからこそ、赤龍に触れて貰うことが嬉しいのに、怖いとさえ思ってしまっていた。
「…買い物したら、直ぐ帰って赤龍に謝ろう。赤龍に嫌われたら嫌だもの。…よし、早く行こう」
ヒロインはそう決心し、駆け足で、砂漠の村へと急ぐ。
魔王を倒したお陰で、魔物達の姿は無く、ヒロインの行く手を阻むものはいなかったー。
「わっ、前より水が増えて綺麗になってる…」
砂漠の村に久しぶりに訪れると、ヒロインと赤龍で地下水道に住んでいた魔物を倒した事によって、オアシスの水が増え、以前より美しくなった村がそこにあった。
「綺麗…良かった、この村を救う事が出来て」
きっと、この村の様に自分の村も変わってみせると、ヒロインは心に決める。
そして、道具屋へと足を運ぶ。
「いらっしゃいませー」
「どれを買っていこうかな…」
沢山ある食べ物や雑貨の中を、ヒロインの目が忙しく動いている。
「赤龍と一緒に食べたいもの沢山あるし…」
ヒロインが考え込んでいると、背後から声が上がり始めていた。
「…ヒロインさん?」
「えっ」
聞き覚えのある声に、ヒロインは後ろを振り向く。
すると、そこには驚きの表情で自分を見つめている二人の美青年が立っていた。
「やっぱりヒロインさんか」
「ヒロインじゃねぇか」
「雅さんに郁…?!」
それは、砂漠の村に住む、癒しの力を持つ神官雅と、港町で出会った海賊のボス、郁であった。
「ヒロインさんどうしてまたここに?」
「ちょっと買い物に来たんです。あの、雅さんがここにいるのは分かるんですけど、郁がなんでここに?」
この村の神官である雅がいる事は不思議ではなかったが、郁がいる事に、ヒロインは疑問を感じた。
「ああ、俺はこいつと組んでな、今各地に回ってるんだ」
「え、雅さんと組んで?」
「うん、彼が船を持っているからね。彼の船で世界を回って、僕の力が必要な人の所に行って手当をしているんだ」
その言葉を聞き、ヒロインはなるほどと笑顔を浮かべる。
「もう海賊は止めたが、俺は船を操るのが好きだからな。そんな時にこいつと出会って、コンビを組んで行動してんだよ」
「そうだったんだ…二人とも凄いね」
「何言ってんだよ、そうさせたのはあんただろーが」
「え、私?」
疑問を浮かべるヒロインに、郁はニヤリと笑う。
「あんたと出会ったから、俺は変われたんだ。青龍の野郎にそそのかされたが、ヒロイン、あんたに出会ったから俺は悪さは止めようって思えたんだぜ?」
「郁…」
「それは僕も同じだよ、ヒロインさん」
聡は笑みを浮かべ、ヒロインを見つめる。
「君と出会えたからそう思えたんだ。君がこの村を救ってくれた様に、僕も沢山の人を救いたい、ってね」
「雅さん…」
二人の気持ちが嬉しい。
彼等がどうしたか気になっていたので、会う事が出来て良かったと、ヒロインは思った。
「けどよヒロイン、あいつどうしたんだよ、赤龍は」
「そういえば、赤龍さんの姿が見えないね」
二人はキョロキョロと、周りを見渡す。
「あ、赤龍は…」
「んだよ、まだ奴の下僕になってんのかよ」
「えっ、そうなのヒロインさん?」
「い、いえ、あの…」
彼等と出会った時は、まだヒロインは赤龍に下僕として扱われていた。
ヒロインは慌てて、否定しようと口を開く。
「まあいい、あいつがいねぇんなら。なあヒロイン、今夜俺らと一緒に飲まねえ?」
郁はそう言い、ヒロインに歩み寄る。
「雅の仕事も一区切りついたから今日はこいつの村に戻ってきたんだ。そうしたらあんたがいた。これはもう、俺らと一緒にいようぜって事だろ」
そう言いながら、彼はヒロインの肩に手を回す。
「えっ、あ…でも私、行けな…」
「郁にしては良い考えだね。僕もその意見には賛成だよ」
そう言い、雅もヒロインへと歩み寄る。
「にしては、は余計だろ」
「本当の事だしね。ね、ヒロインさん、本当は郁抜きが良いけど仕方ないから、三人で一緒にご飯でも食べようよ。また僕の教会で、ね、どうかな?」
雅は笑顔を浮かべ、ヒロインの片手を取る。
「君に久しぶりに会えたから…色々話もしたいし。どうかな?」
「あ、ありがとう雅さん。誘いは本当に嬉しいんですけど…」
ヒロインは雅の満面の笑みに負けじと、断りの言葉を言おうとする。
(ヒロインにまた会えると思わなかった。…今度こそ、彼女を僕のものにする…またネコの尻尾と耳をつけて…ね)
(あん時は赤龍の野郎のせいで、ヒロインを抱き損ねたからな。今度こそ…あんたを頂くぜ、ヒロイン…)
雅と郁は、手の届かなかった欲しいものを漸く手に入れられた様な、そんな感覚に陥っていた。
そして、服の下にあるヒロインの豊満な胸に、二人の目線は釘付けになっていた。
「ヒロインさん」
「ヒロイン」
二人はジリジリと、確実にヒロインとの距離を縮めていく。
「誘ってくれてありがとう。でも私、赤龍と…」
ヒロインがそう言いかけた時であった。
肩に置かれた郁の手、片手を掴んでいた雅の手が無くなったかと思ったら、燃えるような赤い髪の美青年に抱き寄せられていた。
「…貴様らにヒロインは渡さん」
「!赤龍…?!」
赤龍が現れ、ヒロインを抱き寄せたまま、目の前で驚きの表情を浮かべている雅と郁に、一言そう言った。
「え、赤龍さん…?」
「赤龍?!だってお前、髪の毛青かったんじゃねぇのか?青龍…いや、けど赤龍か…?」
髪の色が変わった赤龍を見て、二人は少々困惑するが、直ぐに頭を切り替えていた。
「赤龍、今ヒロインを渡さねーとか言ったけどよ、良い加減下僕から解放してやれよ」
「うん、いつもは違うけど今回ばかりは郁に賛成だね。赤龍さん、君はヒロインさんを人として扱っていなかっただろう?良い加減彼女を解放しても良いんじゃないかい?」
郁と雅は、真剣な表情でそう言った。
二人はまだ、赤龍が自分を下僕として扱っていると思っているのだろう。
「ヒロインは下僕などではない。俺のものだ、俺の女だ。貴様らが気安く触れて良い存在ではない」
そう言った赤龍の口調は、怒りを含んでいる様であった。
「え…俺の女?」
「…赤龍の女だと…?」
赤龍の突然の言葉に、雅と郁はただ驚く事しか出来ない。
「…行くぞ」
赤龍は二人から顔をそらし、ヒロインを抱き寄せたまま強く引っ張る。
「赤龍…っ?」
赤龍の怒りを感じ、ヒロインは彼を見上げるが、そのまま瞬間移動の魔法で、雅と郁の前から姿を消していた。
「…なあ、赤龍の野郎、ヒロインを俺の女って言ったよな?」
ヒロインと赤龍が消えた後、郁は呆然と雅に言う。
「うん…言ったね。下僕ではない、俺の女だって。…彼、いつの間にヒロインさんを手篭めにしたんだか…」
雅ははあっと、溜息を吐く。
「ああ…あん時無理やりにでもヒロインを俺のもんにしておけば良かったぜ…」
「君に同感だよ…はあ、いつもなら君とはこんなに意見合わないのに」
「ヒロインの事に関しては、俺とあんたは一緒って事だな」
「そう、認めたくないけど…僕と君はどうやら失恋した様だ」
雅のため息混じりの言葉に、郁は彼の肩に手を回す。
「仕方ねぇ。二人で今夜は失恋パーティーと行こうぜ」
「うん、今日ばかりは僕もとことん飲むよ。朝まで付き合って貰うよ」
「上等だ」
雅と郁はお互い笑い合い、とぼとぼと歩いて行ってしまった。
無理やりにでもヒロインを自分のものにしておけば良かったと、二人はいつまでも後悔するのであった。
「きゃっ!」
ヒロインは家に付いて早々、悲鳴を上げていた。
赤龍が強い力でヒロインを押し倒していたからだ。
倒れた先は真新しいベッドの上で、痛みはなかったが。
「…」
赤龍は表情を変えず、ヒロインの両手を押さえつけ、そのままじっと彼女を鋭く見やる。
「赤龍…っ」
赤龍の瞳が怖く、ヒロインは目をそらす事が出来ない。
「…そんなに、彼奴らが良いのか?」
「え…」
ヒロインが驚きの表情を浮かべると、赤龍は表情を変えずに言った。
「俺より彼奴らが良いのか?だから逃げたのか?」
「!ち、違うよ赤龍!私、赤龍に抱かれたい…けど、いざそうなったら怖くなっちゃって…貴方の事好きだから…だから…」
「…」
ヒロインの言葉を聞き、赤龍の表情が少しだけだが変わっていた。
そして、彼女の両手を押さえるのを止め、その頬に触れる。
「…俺は、お前が俺から逃げたと思った。やはり、俺より兄上や他の男が良いのかと。…お前があの二人と話しているのを見て、頭がカッとなった。お前は俺のものだと、他の男になど渡さないと…」
「!赤龍…」
赤龍の言葉に、ヒロインは彼もまた不安を感じていたのだと分かった。
いつもクールで冷静な赤龍でさえ、不安に思っていたのだと。
ヒロインは、赤龍の頬に自分も触れる。
「赤龍…ごめんね。私…これ夢なんじゃないかって不安になっちゃって…。魔王を倒して、赤龍のいた神の国に行って…おじいさんに会って…それで…赤龍と一緒にいられるって…全部夢なのかなって。だから…怖くて…」
「ヒロイン…」
赤龍はゆっくりと、そのままヒロインの頬から唇に指を這わす。
「俺は夢でお前を手放したりはしない。今まで旅してきた俺とお前の思い出は、全部現実だ。…ヒロイン、俺はお前を離すつもりはない。…愛してる」
「赤龍…っ。ん…っ」
赤龍の唇を触れていた指が首筋に動くと、彼の唇が触れていた。
もっとしてほしいと、ヒロインは赤龍の首に両手を回し、彼の赤いサラサラの髪に触れる。
「ん…ヒロイン…」
「ふ…ぁ…赤龍…」
赤龍の舌が口内に入り、歯列をなぞられていく。
そのまま舌を絡ませ合い、ヒロインも夢中で赤龍の舌を味わおうと絡ませる。
「赤龍…ん、好き…愛してる…」
キスを終え、ヒロインは潤んだ瞳で赤龍に言う。
「ああ…。俺もお前が好きだ。…ヒロイン、二度と離さない。お前は俺のものだ…」
そう囁いた赤龍の瞳も、熱を帯び潤んでいた。
「赤龍…あっ…」
「俺に身を任せろ…」
赤龍が首筋に顔を埋めると、そのままちゅっと音を立てて首筋に赤い痕を付けていく。
そして、そうしながら赤龍の細く長い指がヒロインの頬から肩を通り抜け、その先にある大きな膨らみを見つけると、服の上から膨らみを掌に包み込んでいく。
「ふぁ…っ」
服の上から触れられただけなのに、ヒロインはびくんと身体を跳ねらせてしまう。
赤龍の指が、そのまま服の上から食い込まされていき、ぐにゅぐにゅと、強めに円を描く様に揉み始めていた。
「あんっ、あっ…ぁ…」
もうヒロインに怖さなどは無かった。
赤龍に触れてもらいたい、ヒロインの想いはそれだけであった。
「ちゅっ、ん…」
首筋を吸ったり、優しく舌で這わせたりと、赤龍は巧みに愛撫していく。
両手に包み込んだ乳房を、服に皺が出来る程強く、捏ねる様に揉んでいく。
「あん、あっ、あんっ。赤龍…」
「ちゅ、ん…ヒロイン…もっと声を聞かせろ…」
ちゅっ、ちゅっと、赤龍はヒロインの首筋にキスを落としていく。
そして、乳房を愛撫する動きを変え、優しく、滑らかに、乳房の輪郭に沿って撫でる様に触っていく。
「ぁ…はあっ…」
強めの愛撫から優しい愛撫に変わり、その反動もヒロインに快楽を送っていた。
赤龍の指先が乳房の輪郭を這いながら、何かを探す様な動きに変わっていた。
「あっ…やぁ…」
その実を探し当てて欲しい、けど恥ずかしい、ヒロインはそんな思いで言葉を漏らす。
「ふ…どうした?」
ヒロインの反応が可愛いと思い、赤龍は笑みを浮かべる。
黙ったままのヒロインに、赤龍は指を動かしていく。
そして、赤龍の指先が服の下から突き出ている突起に触れると、ビクンとヒロインの身体が震えた。
「あんっ!…ぁ、赤龍…っ…」
イヤイヤと首を横に振るが、嫌ではない。
探し当てた突起を赤龍の指は離さず、そのまま中指の腹を当て、クニクニと突起を乳房と同じ様に円を描きながら転がしていく。
「あんっ!あぁ…んっ、やぁ…」
「…可愛い声だな。この実がそんなに良いのか」
ふっと赤龍が微笑む。
そのまま再び首筋にキスを落としながら、両方の突起を中指の腹で優しく、そして捏ねる様にコロコロと転がしていく。
「あ…っん、あぁ、ん…っ」
赤龍の指で突起が転がされると、甘い痺れがそこから全身に伝わり、自然とヒロインの口からは喘ぎ声が漏れてしまっていた。
「ん…こんなに硬くして…お前は敏感なんだな」
「そ、んな…事…あっ、はあっ…ぁん」
赤龍の中指が左右に撫でる様に突起を転がし、否定しようと思っても出来なかった。
服の下からぷっくりとその存在を強調してしまっている突起は、赤龍の指に触れやすい様にと、更に硬さを増していた。
突起を転がすのを止めると、赤龍は親指と人差し指で根元を摘むと、上下に優しく擦りあげていく。
「あんっ!ああ…っ、やぁ…ん」
ビクンと、再び腰を浮かせてしまうヒロイン。
それ程、突起から伝わる快楽は甘いものであった。
完全に尖ってしまった突起を、優しく何度も擦りあげられ、その硬さは限界にまで達していた。
「あんっ!あっ…あぁ、あん。赤龍…はぁ、ん」
「ヒロイン…」
ヒロインの甘い声を聞きながら、赤龍は一端突起への愛撫を止めると、彼女の服の裾を掴み、スルスルとたくし上げていく。
ぷるんっと揺れ、ヒロインの乳房が赤龍の前に露わになっていた。
「…綺麗だ」
「赤龍…っ、恥ずかしい…」
赤龍に何度か見られているが、やはり恥ずかしい。
「お前の全てを、俺に見せろ…。お前の心も、この身体も…全て、俺のものだ…」
「ふぁ…っ」
たくし上げられた服を越え、赤龍の舌が胸の谷間へ這わされ、ゆっくりと舐め上げられていく。
そして、指が再び乳房に触れると、捏ねる様にぐにゅぐにゅと揉まれていく。
「ああ…ん。あっ…はぁ…ん」
直に触られただけで、服の上からでは全く違う強い快楽がヒロインを襲い、声を我慢する事が出来ない。
そして、乳房を揉まれ、赤龍の中指が再び突起に触れると、そのままコロコロと円を描きながら転がされる。
「あぁ、んっ!あんっ、あぁ…っ」
硬く尖った乳首を転がされ、ヒロインは声を大きく上げてしまう。
「ヒロイン…」
乳首を転がしたまま、赤龍の舌は谷間から左の乳首へと、ゆっくり這わされていく。
そして、舌先で乳頭の部分に触れると、チロチロと弾く様に愛撫する。
「あぁっ!」
たったそれだけなのに、赤龍の熱い舌が触れただけで、ヒロインの身体は敏感に反応してしまう。
そして、そのまま乳首は赤龍の口内へと姿を消していき、ちゅうぅと強めに吸い上げられた。
「あぁん!!」
乳首を吸い上げられた瞬間、ヒロインは赤龍のサラサラの赤い髪を抱え、首を仰け反らし声を上げてしまった。
右の乳首も、左右に撫でる様に中指の腹でコロコロと転がし、強めに吸い上げた左の乳首は、ちゅっ、ちゅっと、今度は優しく吸い上げていく。
「ああんっ、あんっ!やあ…あん」
嫌と喘いでしまうが、やはり本心ではない。
もっとしてほしい、赤龍に触れてほしい想いが、自然に言葉に表れていた。
「ちゅ…硬くて美味だな…お前の実は…ん」
赤龍が囁きながら、ちゅぱっと乳首を引き抜く。
そしてまた、口内へと含み、その中でコロコロと舌先で転がしていく。
「あぁん…っ、だ、って…赤龍が…触れてるから…」
好きな人に愛撫されている、感じるなという方が無理であった。
「ふ…なら、もっと感じろ、ヒロイン…ん、ちゅ…」
コロコロと転がした乳首を再び唇で挟むと、ちゅうっと音を立てて吸い上げられる。
「あぁんっ」
そして、右の乳首もゆっくりと上下に撫でられながら、クネクネと円を描いて転がされていく。
「ああん…あんっ、あん」
硬く尖った両方の乳首は、赤龍の舌と指に合わせその形を変えていく。
その度に、強い快楽が生じ自然と声が大きく漏れてしまっていた。
その硬さを解す様にと、赤龍は舌を乳首に絡ませ、擦る様に動かしていく。
「はあ、ん。あぁ…ん」
ヒロインの甘い声と共に、乳首は解れるどころか、更に硬さを増してキュッと締まってしまい、赤龍がちゅうぅと吸うとその硬さが唇に伝わっていく。
「ああん。あんっ、あぁ…」
「ちゅっ。…硬くて吸いやすいな、この実は…」
ちゅぱっと乳首を引き抜きながら、赤龍は囁く。
「やぁんっ、言わないで…」
「硬いという事は、俺に感じてくれているんだろう…?」
赤龍はそう言いながら、舌先を尖らせ乳頭をツンツンと弾き、右の乳首を親指と人差し指で摘み、上へと引っ張りながら捻り上げていく。
「ああんっ!あんっ、やぁ…あん」
「その可愛い声が…何よりの証拠だ…」
赤龍はふっと笑い、乳首を吸い、捻り転がしていく。
「あぁん、あっ、ああん…」
身体が快楽に包まれ、喘ぎ声を出す事しかヒロインは出来なくなっていた。
赤龍が左の乳首から舌を離すと、乳首は濡れて光り、ピンッとそそり立っている。
右の乳首も、キュッと引き締まり、輪郭をはっきりと強調させていた。
濡れてしまった左の乳首に、同じ様に中指の腹で触れ、円を描きながら転がそうとすると、ぬめっている為、赤龍の指から乳首が逃げてしまう。
「ああん!」
「…悪い実だな、俺から逃げるとは」
赤龍は、今度は親指と中指でしっかりと乳首の根元を摘むと、上へと引っ張りながら、キュッと捻っていく。
「あぁん!あぁ…っ、やぁんっ」
ヌルヌルした感触の上に、赤龍の指が強く動き乳首の形を変えていく。
そして、左の乳首が逃げない事を確認すると、赤龍の舌が再び動き出し、今度は指で愛撫した右の乳首へと這わせていく。
「はあぁっ…」
ピンッと硬く尖り、乾き締まっていた右の乳首に、赤龍の熱い舌が絡みつき、ぬるっとした感触を与えられると、何とも言えない心地良さを感じてしまう。
その硬さを解そうと、赤龍の舌が乳頭から根元まで絡みつき、渦を描く様に舌を動かしていく。
「ああんっ、はぁ…あぁんっ」
乳首は硬さを緩める所か、ヒロインの喘ぎ声と共に、更に硬さを増し、赤龍の舌を弾きかえす様な弾力を与えていた。
それでも赤龍は、そのまま乳首に吸い付き、ちゅうぅと音を立てて吸い上げていく。
「ああんっ、あぁん!」
左の乳首も摘み上げながら、今度は上下に擦る様に動かしていく。
「はぁん、あんっ、ああん」
そして、ちゅぱっと右の乳首を引き抜くと、左の乳首と同じ様にすっかりぬめってしまい、ピンッと光りそそり立っていた。
「あぁん…赤龍…」
「ふ…本当に…お前は可愛いな…」
何回言ったか分からないが、赤龍は本当にヒロインが可愛いく愛しいと、そう口にしていた。
再び左の乳首を口内に含ませ、ちゅっ、ちゅうっと優しく吸い、右の乳首の根元を人差し指と薬指で挟み、中指で上下に擦る様に乳頭を刺激していく。
「ああんっ、あんっ、あぁん」
甘い快楽に、ヒロインは声を上げる。
ずっとこうされたかった、赤龍と結ばれたかった。
ヒロインの想いは身体を素直にさせ、腰の奥がキュッとなり、脚の間から蜜を溢れさせていた。
左の乳首をちゅうっと吸いながら、赤龍の左手が右の乳首を離れ、ゆっくりとお腹を這い、そのままスカートを飛び越え剥き出しになったヒロインの太ももに這わされる。
「あぁ…っ、はぁ…ん」
撫でられただけなのに、そこはキュッとなり、更に蜜を溢れさせていく。
赤龍の細く長い指が太ももを撫で上げながら、ゆっくりと奥へと指を進ませていく。
「あぁ…っ…」
「…ふ」
下着の中心に赤龍の指が触れた途端、ヒロインはビクンと腰を跳ねらせてしまった。
赤龍は優しく微笑み、そのまま人差し指と中指の腹でそこに触れ、上下に優しく擦り始めていく。
「ああっ、やぁ…ぁあっ」
赤龍に思わずしがみついてしまうヒロイン。
下着の意味が無いほど、そこは蜜で溢れており、赤龍に確実にその事を伝わらせていた。
「…我慢するなヒロイン…もっとお前の甘い蜜を溢れさせろ…ん、ふ…」
「そん、な…あぁん!」
乳首が強めに吸われ、力が抜けてしまうと、赤龍の指が下着の中に入り、直接そこに触れる。
そして、蜜を溢れさせる入り口に指の腹を当て、擦る様に撫で回していく。
「あぁんっ、やぁっ、ああん!」
直に触れられ、強い快楽がヒロインを襲う。
蜜を溢れさせ、赤龍の指を濡らしていくが、彼は構わず入り口を押さえ、擦り転がしていく。
「あぁん、だめ…赤龍だめぇ…はぁっ、ああん…」
「駄目じゃないだろう…こんなに甘い蜜を溢れさせて…」
赤龍は乳首から唇を離し、快感に歪むヒロインの顔を見てニヤリと微笑む。
そして、指を少し上へと移動させ、乳首と同じ様に硬く尖りその存在を知らしめている突起に指の腹を当てると、ゆっくりと上下に擦り撫でていく。
「はぁあんっ!」
一番感じてしまう突起を愛撫され、ヒロインは腰を浮かせてしまう。
「この実も硬いな…」
赤龍はヒロインがこの実が感じると分かり、スッとゆっくり突起を撫で上げる。
「あぁあんっ、やあん」
ヒロインはふるふると首を横に振り、迫り来る強い快楽に息を荒くする。
赤龍は指を下着から抜き、そのまま身体を起こす。
「あ…赤龍…っ」
刺激がなくなり、物足りなくなってしまったヒロインは、涙目で赤龍を見つめる。
「ふ…そんな顔をするな。…直ぐに感じさせてやる」
「!や…赤龍…っ」
赤龍はヒロインの脚の方へと移動すると、両手で彼女の内腿に触れ、そのまま開かせていく。
閉じようとしても、身体は快楽を求め言う事を聞かない。
赤龍の赤い髪と瞳が揺れると、彼はそのままヒロインの脚の間へとその美しい顔を埋めていった。
「赤龍…っ、あぁあん!」
ヒロインの声が、再び大きく上がっていた。
「ん、ちゅ…ん…」
赤龍が舌を巧みに使い、溢れ出る蜜をチロチロと舐め上げていた。
「ああぁんっ!赤龍やあ…あぁん!」
ヒロインが魔王の部下に操られた時、赤龍は彼女をイかせ操りを解いていた。
が、ヒロインにとっては初めての事であり、その快楽は計り知れないものであった。
赤龍はチロチロと舐めとった蜜を、今度は舌を円を描く様に回しながら蜜を舐め、時にはちゅうっと吸い上げる。
「はああんっ、ああん!赤龍…っ、あぁあん」
自然と両手は赤龍の髪に触れ、自然と脚は更に開いていく。
赤龍は押さえていなくてもヒロインが脚を閉じないと分かり、手を伸ばしキュッと締まり尖っている乳首を摘み、コロコロと転がしていく。
「あぁんっ、ああん」
愛撫を止めた後も、乳首はキュッと硬く尖り、赤龍の指に合わせ、コロコロと転がっていく。
蜜を更に味わおうと、赤龍の舌が入り口に触れると、チロチロと刺激を送る。
「ふあぁんっ!あっあぁ…っ」
「ちゅ…お前の蜜は甘いな…ん…」
入り口を刺激すると、蜜が更に溢れ、赤龍の唇や舌を濡らしていく。
蜜を舌で味わいながら、赤龍はそのまま少し上に移動し、乳首と同じ様に硬く尖っている突起を見つけると、そこに唇でちゅるっと吸い付き、そのまま吸い上げていく。
「あぁああん!」
思わず、ヒロインは腰をピクンと跳ねらせていた。
赤龍の口内で突起がちゅうっと吸われると、強い快楽が電流の様にビリッとヒロインを襲っていた。
突起を一通り吸い上げると、赤龍は唇で挟んだまま、チロチロと舌先で突起を突いていく。
「あぁあん!あんっ、あぁんっ!やあぁ…」
吸うのとは違った刺激を送られ、ヒロインは声を押さえられず、腰をピクンと再び跳ねらせてしまう。
突起を唇で挟むのを止め、赤龍は突起に舌先を当てると、そのままゆっくり下から上へと舐め上げていく。
「はあぁんっ、あんっ、あぁっ」
丁寧に突起全体を舐めあげられ、甘美な酔いがヒロインを襲う。
赤龍の舌がゆっくりと動き、突起全体をクルクルと撫で回していく。
「あぁあんっ、あんっ、ああん。赤龍…あぁんっ、だめぇ…!」
脚の先までジンと、甘い痺れが生まれ伝わっていき、ヒロインの限界を意味していた。
赤龍はそれを直ぐに理解し、再び突起を口内に含み、ちゅうっと音を立て強めに吸い上げていく。
「あぁああん!あんっ!やぁんっ、だめぇ!」
強く吸われ硬くなってしまった突起を、赤龍の柔らかく熱い舌がほぐす様に絡みつき、転がしながら舐め撫でていく。
「はぁんっ、あんっ、あん!赤龍っ、やぁん!イく…イっちゃう…!」
「ちゅ…ん…ヒロイン…」
赤龍はヒロインの名を呟いてから、突起を口内から出し、舌先を尖らせるとチロチロと細かく突き、刺激を送る。
「あぁあん!だめぇ!イっちゃう!はぁんっ、あぁああん!!」
摘まれた乳首、舌で刺激を送る突起共に、限界までピンッと硬く尖っていた。
ヒロインの声と共に、身体がピクッと跳ね、そのまま彼女は限界に達していた。
「…」
ヒロインが達した事が分かると、赤龍は起き上がり、再び彼女に覆い被さる。
その胸は大きく吸ったり吐いたりしており、ヒロインはトロンとした瞳を浮かべていた。
「…ふ、可愛い声だった」
「はあ…はあ…赤龍…」
ヒロインは赤龍にキスを求め、彼の首に手を回す。
赤龍はそのまま唇を近づけ、お互いを味わう。
「んっ…ふ…っ」
ヒロインは吐息を漏らしながら、赤龍を求める。
赤龍はキスをしながら、達したばかりで、ビクッと疼いているヒロインのそこに、熱く硬くなった自身を、ゆっくりと押し付ける。
「ふぁ…」
赤龍のものが当てられ、ビクッとなるヒロインだったが、抵抗などしない。
クチュッという水音と共に、ヒロインのそこは待ち望んでいた愛する彼のものをゆっくりと中へと招き入れていく。
「あぁ…っ!」
「ッ…ヒロイン…やっと、お前を抱く事が出来る…ッ」
赤龍の綺麗な顔も、快楽に歪んでいた。
「赤龍…っ…ああ…あっ…!」
愛する人のものが、自分の隘路を掻き分け、どんどん奥へと進んでいく。
待ち望んでいた赤龍の熱いものに、ヒロインのそこは夢中で締め付け、逃がさんと言わんばかりに、きつく締め付けている。
「く…ッ…」
「あぁ…はあっ…」
ヒロインも赤龍にしがみつき、彼が奥へと辿り着くのを待つ。
「お前の中は…キツイな…ッ」
「ああ…赤龍が…欲しかったから…っ、ああっ…!」
漸く最奥へと赤龍のものが辿り着くと、彼はゆっくりと再び出口に向かって自身を少し抜き、そのままグンッと最奥を突き上げる。
「あぁあんっ!」
「ッ…!」
熱く硬い先端が奥を突くと、そこから甘い痺れが腰へと伝わり、甘い声を上げてしまう。
奥を突き上げると、再び出口に向かって赤龍のものが抜かれていく。
が、それを逃さない様にとヒロインの膣はきつくそれを締め付けていく。
「ッ…良い、締め付けだ…」
「あぁんっ、赤龍…っ」
きつい締め付けに心地良さを感じながら、赤龍は抜き出るギリギリの所まで自身を抜き、そして一気にグンッと突き上げる。
「はあぁんっ!あぁん!赤龍の硬い…あぁあん!」
「ヒロインが可愛いからな…ッ、俺を、ここまで夢中にさせた…。責任…取って貰うからな…ッ」
赤龍はそう呟きながら、ヒロインの頬を撫で、自身を一気に強く引き抜き、そのまま一気に突き上げる。
「あぁあんっ!あんっ、あぁん!」
赤龍のものが動く度、ヒロインの膣の中が熱く、そして波打ち、彼のものを締め付ける。
「く…ッ…」
赤龍はその締め付けに心地良さを感じながら、自身を抜き挿ししていく。
「ああん、あんっ、あぁん。赤龍…」
愛しい女性が可愛い声を上げ、赤龍はそれを見、更に強く突き上げる。
「はあぁあん!」
すると、やはり愛しい者は可愛く声を上げる。
赤龍自身も、ここまで人間の女性に心を奪われるとは思いも寄らなかった。
最初こそ、面倒でしつこい女としか思っていなかった。
が、いつの間にか、一生懸命なヒロインを見ている内、赤龍はいつしか彼女に心を惹かれていた。
(俺はもう、ヒロイン無しでいられないだろう。愛しい彼女をずっと…二度と離さない)
赤龍はそう思い、ヒロインに覆い被さり、甘い声を上げる彼女の唇を奪う。
「んっ…ふ…あぁん…赤龍…っ」
自分を求め舌を絡ませる彼女が愛おしく、赤龍はちゅうっと音を立て唇を味わう。
その間にも、腰を動かし、確実にヒロインの内壁を擦りながら、奥へとその甘い刺激を送る。
「んっ…ああ…ふぁ…あぁあんっ」
キスの合間に、堪らずヒロインは喘いでしまう。
それほど、赤龍に抱かれているという想いが気持ちよく、とても心地が良い。
「ちゅ…。…ヒロイン…愛してる。…お前は俺のものだ…。何処へも行くな、この俺の側にいろ…ッ」
赤龍はヒロインを見つめながら、グンッと、確実に彼女の最奥を突き上げていく。
「はあぁあんっ。ああん」
ヒロインは赤龍にしがみつきながら、快楽に負けじと声を紡ぐ。
「私も…ああんっ、赤龍が好き…!ずっと…ずっと一緒にいたい…!愛してる…!」
赤龍の事が、出会った時からずっと好きだった。
かっこいいのに冷たくて、下僕扱いされて、それでもヒロインは、赤龍が好きだった。
彼に出会えたからこそ、ここまで来ることが出来た、幸せを掴むことが出来たのだ。
赤龍と離れるなど、考えたくもない。
ヒロインは目を開き、赤龍を見つめて言った。
「ヒロイン…ッ」
赤龍の赤い瞳も、熱を帯び涙ぐんでいる。
彼の頬に手を伸ばし、ヒロインは笑顔で言う。
「赤龍…っ、あ…っあぁ…っ、ずっと…一緒にいてね…っ」
「…ああ…俺とお前は…ずっと、一緒だ。…二度と、離さない…ッ」
「あぁあんっ!」
赤龍が再び起き上がり、ヒロインの膝を持ち大きく開かせると、グンッと反動をつけながら、自身を突いていく。
「はあぁあんっ!あんっ、ああん!」
どうしたら良いか分からない程の快楽が、ヒロインを襲う。
奥を突かれる度に、ヒロインの脚が甘く痺れる感覚に陥り、再び彼女は快楽の果てへと導かれようとしていた。
赤龍もそれは同じで、自身を抜き差しする度に、彼女の内壁が激しく締め付け、彼自身を更に大きく、熱を帯びさせていた。
ヒロインは自らも腰を動かし、赤龍のものを当てやすいようにさせる。
「あぁんっ、あんっ、あん!赤龍だめぇ…またイっちゃう…!」
「ああ…俺もだ…ッ…く…ッ」
赤龍も表情を快楽に歪ませ、ヒロインに再び覆い被さると、そのまま腰の動きを早め、確実に突き上げていく。
「はあぁんっ、あんっ、ああん!」
ヒロインは赤龍の背に手を回し、声を上げる。
ヒロインも赤龍も、お互い熱くなった身体を感じていた。
お互いの顔を見つめ合いながら、二人は腰を打ち付け合う、一緒に快楽の果てへと達する為に。
「あぁあん、はぁあんっ、赤龍っ…イっちゃう…!」
「…ッ…!」
ドクンと、赤龍のものがヒロインの膣の中で大きく波打つ。
その途端、ヒロインの頭の中が真っ白く染まり、身体がビクンと震えていく。
「ああぁん!イっちゃう!はあぁあんっ!」
「く…ヒロイン…ッ…!」
ヒロインが二度目の絶頂を迎えると、赤龍の波打っていた自身が再びドクンと大きく震え、熱いものが彼女の中へと流れていく。
「あぁ…っ…はあ…はあ…」
全身が熱く、呼吸も荒くなっていた。
ヒロインは目の前の赤龍を、呼吸を整えながら見つめる。
「ヒロイン…」
赤龍はヒロインの名を呟き、その唇にちゅっと軽くキスを落とす。
「これでもう…お前は俺のものだ。逃しはしないが…良いな」
「うん…私は赤龍のものだよ…ずっと、ずっと一緒にいる…」
ヒロインは赤龍の髪を撫で、はっきりと頷く。
「ああ…ずっと一緒にいよう。そして、お前の村を元の美しい村にしていこう」
「うん…ありがとう赤龍…」
ヒロインは自分から赤龍にキスをし、彼の肩に顔を埋める。
甘く幸せな時間が、二人を包み込んでいたー。
「…はい、もう良いよ」
「ありがとうございます!」
雅は砂漠の村で、癒やしの神官としての腕を磨いていた。
「お前ら、これからは人の為にこの船を使うぜ、良いな!」
「はい!ボス!」
港町では、郁が自分の船を運搬船として使い、人々の手助けをしていた。
「…ヒロイン、俺はいつまでもここで、神としてお前を見守る。そして赤龍…弟よ、幸せになれ…」
神の国の城のテラスで、青龍は人間界を見守りながらそう言葉を紡ぐ。
兄として、彼は彼なりに弟を気遣っていた。
そして、青龍は水の魔法を人間界へと降り注いでいくのであった。
「す、凄いね、赤龍…」
「ふ、この俺の力なら当然だ」
ヒロインの言葉に、赤龍は自信たっぷりに答える。
復興を始めた村は、赤龍の魔法によってあっという間に蘇り始めていた。
大地の割れは、恵みの雨によって塞がり、草や花が瞬く間に増えていった。
「雨は兄上の魔法だろう。きっと兄上は、俺達を見守っている」
「青龍が…。…青龍、ありがとう」
真っ青な空に向かって、ヒロインはお礼を言う。
「もうすぐ、ここにも人々がやってくるだろう。そうすれば、元の明るい村へと戻る」
「うん。きっと、お父さんもお母さんも、みんな喜んでるわ」
ヒロインは赤龍に歩み寄り、肩に首を乗せる。
赤龍もまた、ヒロインの肩に手を回し、村を見つめる。
「ヒロイン、俺とお前で…良い村に、良い世界にしていこう。俺とお前なら出来る」
「うん、赤龍と一緒なら何でも出来る。…愛してるわ、赤龍…」
ヒロインが赤龍を見つめると、彼は静かに彼女の唇にキスを落とす。
「…俺も、お前を愛している。二人で生きていこう」
「うん…」
愛し合う二人の間に、温かな風が吹き抜けていく。
数日後、村は人々で溢れ、元の賑やかな村へと見事に変貌を遂げていた。
ヒロインの旅は、ここで始まり、ここで静かに幕を閉じたのであった。
幸せと共にー。
終
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