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「うんうん、こなみが一番身長近かったから何とか大丈夫だね! ちょっと服の方が大きいけれど・・」
次の日、小南の私服を借りたキリはそう宇佐美に言われ、にっこり笑う。
「汚さないでよね? あたしのなんだから」
「うん、こなみ、ありがと」
「あ、あと、ちょっとこっち来なさい。髪も何とかしてあげる」
そう小南に手招きされて、キリは言われるままにドレッサーの前に座る。小南は器用にキリの黒髪を結わいていく。
「なーんだ、こなみもキリちゃんにめろめろじゃーん」
「めろめろー?」
「ち、違うわよ! 玉狛がこんなあほっぽいキリみたいなのばかりいるみたいな印象を与えちゃこまるでしょ! ほら、できた」
「こなみ、ありがと」
「ほらキリちゃん、早く迅さんにその恰好見てもらえばー?」
長い髪をポニーテールにしてもらえたキリは嬉しそうにそうお礼を言うと、足早に部屋を出ていく。
「・・ねぇ、あいつ、本当に何されたの?」
「は?」
キリがいなくなったのを見計らって、小南はそうきりだす。
「・・あいつの頭に、傷があったんだけれど」
「おー! だいぶ可愛くしてもらったなー」
リビングに現れたキリに、迅はにこやかに笑う。
「でも、あたしだっていつまでも貸せないからやっぱりあんたも服買わなきゃね」
後から入ってきた小南がそう言う。宇佐美は、迅に彼女が持っていたトリガーを渡す。
「はい、迅さん。これ」
「よし、行くか」
「いいか、キリ。なんかされたらそいつのとくちょうおぼえとけよ、おれたちがぼこぼこにしてやるから」
「そーよキリ! 結構本部には変な奴いるんだから、気をつけなさいよ!」
いざ出発となると、小南と陽太郎がキリにそう声をかける。キリは訳が分からないのか首を傾げている。
「おまえらなぁ・・本部をなんだと・・」
迅は少し呆れつつ微笑んだ。
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