ロイがわたしにキスをした。かくん、と足が崩れる。そのままベッドに落ちた。
今日は休日だからって、ロイはいつもより甘えてきて、う、嬉しいんだけど、でも、ずーっとひっついてくるから、ちょっと、いや、かなりどきどきしちゃう。ロイの匂いがわたしにまとわりつくように、ふとした瞬間に香る。可愛い、好きだ、愛してる、を、もう何回聞いたんだろう。
「好きだよ」
「や、やめてよ、恥ずかしいんだから!」
ぎゅう、と、わたしを抱き締めて、耳元で囁く。わたしはもうすでにロイのことで頭がいっぱいなのに、どうしてくれるの、もうロイしか見えなくなる。あふれるぐらいの愛を受けて、もうロイの気持ちなんか充分に伝わってきてるのに、それでもまだ足りないのか、痛いほど抱き締めてキスをしてきた。
「ロイ、離れて」
「嫌だ」
「…わがままめ」
ベッドの上でごろごろ、わたしはもう起き上がりたいのに、ロイがわたしの腰に手を回して、離してくれない。そろそろ夜ご飯の準備しなきゃいけないのに。
「お腹減らないの?」
「なにが?」
「そろそろご飯の用意しないと…」
「私は君で満たされてるからいいよ」
なんて恥ずかしいセリフ!こっちが赤くなっちゃう。多分これはどうやっても離してもらえないな。今度は頬にちゅ、次は耳たぶをかぷっ。思わず声を漏らした。
「な、なに、なに!?」
「ははは、可愛いなあ」
「うるさいっ」
もう、だめ、ロイのせいで心臓の鼓動が異常に速い。いい加減慣れないわたしをからかうように、ロイはまた耳に息をふきかけた。ロイの腕のなかでたじろぐわたし。それから、またわたしをぎゅうってする力が強くなった。耳元であなたが愛を囁くたびに、わたしは溶けそうで融けそうで、めまいがするほど好きなの、愛してるの。
「…好き、ロイ、」
「え」
「好き…」
「…珍しいな、君からなんて」
あなたからの愛を感じるたびに、わたしは、いつも幸せで、多分わたしは世界一幸せなんだろうなと思う。もっと甘えてもいいよ。もっと甘えて、ぜんぶわたしにください。もっとわたしを愛して、もっともっと、こんなに欲張りになったのは、ロイのせいなんだからね。
100907 五千打企画