全部分かるんだよ | ナノ



屋上でぽけーとしてる一氏ユウジを発見。まだこちらには気付いていない様子。そろそろと近付いて、とりあえずタックルかまそうと思う。あともうちょっと…ってとこでつまづいてこけた。まさかの展開。私、こんなにドジだったの?


「…何してんねん」

「え、えっと…何してるんでしょう」


こけた状態から立ち上がって、ユウジの隣に座った。作戦失敗。せっかく驚かそうとしてたのに。なんか悔しいから、ユウジの手を握った。


「わ、なに」

「別に」

「…意味分からん」


そう言っても優しく握り返してくれるユウジの手はとても温かい。うふふ、なんかにやける!


「ていうかこんなとこでぼーっとして、どしたん?」

「ん?あー…特に何も」


少し眠たそうにしているユウジ。きっとまた遅くまで試合で使うやつ作ってたのかな。手先が器用っていいなぁ。私に分けてほしいくらい。そしたら、もっと可愛い女の子みたいな感じになれるかもしれないのに。


「あ、なんか今…」

「は?えっ、ちょっ」


頭をぐいっと持たれて、ユウジの顔が私の耳元にきた。な、なに、もしかして寝ぼけて…はないよね!?


「ええ匂いする…」

「は?」

「なんかつけとる?」

「いやつけてへんけど…あ、シャンプー変えたからそれの匂いかな」

「あ、それそれ」


そんなとこまで分かるのねユウジ。そう言ったら、お前やから分かるねん、だって。ああ、やばい、これは…今のはきゅんときた。



100325
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