ねぇ、私、ほんとはあなたのこと、好きなんだ。だけど言えない。そんな勇気なんてないよ。だから、ねぇ、気付いてよ、ばか。ばかやろうめ。
「あー…ねむ」
「さっきからあくびばっかしとるやん、寝不足?」
「最近ゲームばっかしとるからな」
そう言ってまた謙也はあくびをひとつ。そういえば前に光くんと一緒にゲームクリアしようと頑張ってるって言ってたな。なんともまぁ仲の良いこと。嫉妬しちゃうわ。
「あかん、これ寝そう」
「寝んなよ」
「むりむり、眠気には勝てへんから」
ばたっと横に倒れた謙也は、そのまま動かなくなった。え、ちょっと、まさか本気で寝たの?屋上にいるから、風はそよそよ、今日はなんだか暖かいなぁ、うう、私まで眠くなるじゃない。ちらりと眠る謙也を見た。眠る姿も格好いい。
「…ばか、寝んなよぅ」
私のこと放って寝るなんて、くそう、なんてひどい奴。…髪の毛、触って、いいよね?いいか、どーせ寝てるんだし、それに私を放って寝た罰っていうかなんというか。とりあえず髪の毛を触ってみた。軽くワックスつけてるみたいだからちょっとツンツン。金色の髪が太陽の光できらきらしてる。なんか、なぜだか泣きたくなった。
「…なぁ、」
「わぁ!」
「なに驚いて…、な、なに泣いてんの?」
「なっ、泣いてない!ばか!ていうか、い、いつから起きてた…!?」
「え、ずっと起きてたけど…」
私は思わず顔を背けた。う、うそ、じゃあ、髪の毛触ってたのもばれてるんだよね。ああもう恥ずかしい!
「…なぁ、俺さ、今度こそ寝るからさ、」
「……なに」
「その、ひ、ひ、膝枕してくれへん?」
「え、……か、勝手にすれば」
やばいよ、どうしよう、心臓が破裂しそうだ。どきどきと高鳴る鼓動、限界を越える。ていうか私、もっと可愛げのある言葉を言えないのかな!
謙也が私の膝の上で寝始めた。ほんとに寝不足みたいだ、今度はすぐに寝た。またそっと謙也の頭を撫でるように髪を触る。ねぇ、私、すぐにありったけの勇気を持ってくるから、それまで待っててよ。
100304