現実から目をそらすな自分! | ナノ



私、ばかだ。なんで、なんでどうしてあんなこと言ってしまったんだろう。ああ、ああ、ばか、ばかばか私のばかやろう。こんなんじゃ、顔、合わせずらくなるじゃん。


「あ、」

「!!」

「ちょ、逃げるな!」

「ぐへっ」


大佐に首根っこをつかまれて、逃げれなくなった。なってしまった。どうしよう、昨日、あんなこと、言ってしまったあとなのに。…ていうか、いい加減離してくれないと苦しい…。


「た、大佐…逃げない、から、離して…」

「ああ、すまない」


まったく、大佐ったら私を殺す気ですか!…なんて言わない、言えない、顔が見れない。ひたすらうつむいて、昨日のこと、どう説明すればいいのか考えていた。


「…昨日の、ことなんだが」

「…え、と」

「君が私を好きだというのは本当かね?」


どきり。ど、どうしよ、顔が熱くなってきた。たしかに昨日、ぽろっと、ほんとにぽろっと、つい大佐が格好よすぎて、す…好きって、い、言っちゃったけど、まさか、あんな小声聞かれるなんて思ってもみなかった。
じりじりと近付いてくる大佐に、私はもう逃げ場はないと思った。いっそ、もう一度好きだって、言ってしまおうか。


「…私は好きだよ」

「…………はえ?」

「君のことが」


なんという不意打ち!思ってもみなかった大佐の言葉、ああ、どうしよう、嬉しい、嬉しすぎて泣きそうだ。そしたら、大佐の顔がどんどん近付いてくるもんだから、私はびっくりして顔をそらす。


「……こら」

「え、いやだって、いきなりで、」

「じゃあ今からキスする」

「ちょっと、ま、心の準備ってものが、」


ぎゅっと目をつむる。ちゅ、私のまぶたに唇の感触。そっと目を開けると私の顔をすぐそばで微笑む大佐。う、わ、どうしよう、どうしよう、胸が締めつけられた。ぎゅうって、苦しいほどに。そしたらまた大佐の顔がさらに近付く。それに私は目と閉じた。今度は私の唇に感触がした。


「…好きだ」


やばい、格好よすぎるよ、大佐。だから、今度こそは、ちゃんと、しっかり私の想いを伝えよう。


「好き、好きです、大佐」


ずっと、ずっと、大好きなの。



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