陽のあたる保健室 | ナノ



外で生徒たちの声が聞こえる。それとは正反対に、しんとした保健室の中。中途半端に閉められたカーテンの隙間から、太陽の光が漏れている。電気は点けられていないから、今、光は太陽の光だけ。だけど、それだけでも充分室内は明るかった。昼だし。
棚を探る白石を見た。太陽の光で髪の毛がきらきらと光ってる。とてもきれいだと思った。ぐねった右の足首がずきずき痛む。


「あーあったあった、湿布」

「さすが保健委員」

「やろ?ん、じゃあそこ、座って」


言われたとおりにいすに座る。靴を脱いで靴下脱いで、ぐねった足を見せた。あ、あーあ、やっぱり、腫れてるや。


「うわ、膝も擦りむいとるやん。どんなこけ方したん」

「どんなって…普通に…」

「あほやなぁ」


そうやってくすりと笑って、その顔、好きだなぁとか思っちゃって。ふんだ、どうせ私はあほだよ!こけたけど、痛いけど、白石に手当てしてもらえるならいいんだ。なんてばかな私。
てきぱきと手当てをしていく白石をじっと見つめた。そしたら、白石もこっちをちょっと見て、にこりと笑うもんだから、私は思わずどきりとした。私はあなたの言葉と行動だけで、なにもかも支配される。


「はい、終わったで」

「…あ、ありがとう」


靴下をはいて、靴もはいた。立ち上がったときに、少し痛く感じた。全然よろけるような激痛でもなかったけれど、よろけたふりして白石に飛び付いた。


「うわ、おも」

「うわ、ひどい」

「うそうそ、冗談やって」


ぎゅー。白石が私を抱き締めた。やばい、自分からやっといてなんだけど、どきどきして、心臓がどうにももちそうにない。恥ずかしさを埋めるように、さらに強くぎゅーっとしてやった。


「なに、どした、痛むん?」

「んー…痛いー」


あらあら大変とか言って、私の頭を撫でてるけど、ごめん、ほんとはもうあんまり痛くない。白石が湿布貼ってくれて擦りむいたとこもちゃんと手当てしてくれたから。私が痛いのはね、胸が痛いんだ。白石のこと、好きで、もっとこの気持ち伝わってほしいけど、どうして伝えたらいいのか分かんなくて、もっと好きを伝えたくて、もどかしくて、好きすぎて、痛い。ずくずく、きゅうっ。胸が痛い。痛いほど恋しい。



100209 相互記念
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