私はあなたがいい。世界のなによりも、私はあなたがいい。それくらい、好きで、どうしようもないくらい好きで、なのにどうして、私はなんて可愛くないんだろう。どうして、こんなにも好きなのに、私の口からは可愛くないことばばかりが出るんだろう。素直になれないよ。
「大佐、クッキーいりますか?」
そう言えば、大佐は驚いたようにこっちを見た。やばい、緊張してきた。どきどきする。手が、震える。
「君が焼いたのか?」
「そうです」
「そうか、ではいただこう」
私が持っている箱のなかから、大佐はひとつクッキーを取って、口に入れた。私はその様子をじっと見つめる。どきどき。おいしいかな。大佐の口に合うかな。
「うん、とってもおいしいよ」
「そ、そうですか?」
「これはもしかして、私のために作ってきてくれたのかな?」
「…ち、が、違います、別に大佐のために作ってきたんじゃありません」
あ、何、言ってんの私、何言っちゃってんの!また可愛くないこと、言ってしまった。どうしよう、嫌な思いさせたかも。
「…つれないな」
「……あ、の」
「妬いてしまうよ」
大佐が私の髪を触りながらそう言うから、私は恥ずかしくて、ぼとり、手に持っていた箱を落としてしまった。こんな可愛くない私でも、大佐はそうやって私を好きでいてくれるから、私はいつも泣きそうになる。大佐、大佐、好きです。好きすぎて、どうにかなりそうなくらい。
「クッキーが…」
「い、いいんです。また作ればいいから」
そしたら、大佐ったら、優しく微笑むもんだから、私はきゅーんと心が締めつけられた。
「その時は私のために作ってほしいな」
ちゅ、私のおでこにキスをして、頭を撫でて、うう、やばいよ、私、顔が赤い。どうしよう、胸が騒ぐ。私の心臓は破裂しそうなほど、どくどくと鼓動してる。私のこころは大佐に操られるように、左右される。それでも、大佐にだったら私のこころを、ぜんぶをあげてもいいと思えた。
「たい、さ…」
「なんだ?」
「す、き…好きです、好き、好きなの、泣きたくなるほど」
こんなときぐらい、素直になって、この私のどうしようもないぐらいの気持ちを分かってほしくて。そしたらぎゅっと強く抱き締められたから、私は泣いた。あなたが愛のことばをささやくから。好きすぎて、泣いたんだ。
100206 相互記念