今日の晩ご飯はおいしく感じられるはず | ナノ


あー…仕事にやる気が起きない。普段楽しいと思えることがつまらない。お昼ご飯に食べた私の大好物のオムライスだって、おいしく感じなかった。すべてのことに、やる気が起きない。心のなかが、霧がかっている。……あれも、これも、それも、ぜんぶ、ぜーんぶ、


「あいつのせいだばかやろー!」


誰もいない倉庫の中、私は叫ぶ。これが叫ばずにはいられるだろうか、否、叫ばずにはいられまい。今は仕事中で、でも全然やる気が起きなくて、絶不調で、ついには倉庫の整理を任された。倉庫の整理なんて、特にすることもないのに任されたのは、ここで頭冷やしてこいということで。ありがたい、けどすみません。
ぱらぱらと、その辺のファイルにとじられた資料をめくる。その時こんこんっ、とドアをノックする音が聞こえた。


「何か叫び声が聞こえたが、どうかしたのか?」

「あっマスタング大佐!いやちょっともう聞いてください!!」


大佐を倉庫の中にひっぱりこんで、愚痴を吐きだす。


「昨日したくもないお見合いをしたんですよ!親が言うから!」

「ほう」

「それで私、気を使って色々話題出したりとかして!」

「うん」

「何かとにかく色々頑張ったのに!」

「うん」

「最後には『軍人さんはちょっと…』って断られたんですよ!」

「それはそれは」

「軍人だからって何よ!あーもー!」


職業で否定されて、たしかに職業は大事だけど!だけど、それでなんだか私が否定されたような気がして、なによ、なんなの、軍人だって、軍人にもいい人はいるはずなんだから!


「ね!大佐!軍人にもいい人いますよね!」

「そうだな。…たとえば私、とか」

「えっ」


手をとられた。驚いて大佐の顔を見る。大佐の真剣なまなざしに、目が離せなくなってしまった。


「私なら、いい男だし、なにより君にそんな顔させないよ」


あ、どうしよう、今のきゅんときたかも。



20100129
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