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自己設定とは別の主s
「君は誰?」
「あたしはトウコ。君は?」
「僕はトウヤ。よろしく」
「トウヤくん、ね」
「トウヤくんはどこに住んでるの?」
「カノコ出身だけど、今は旅をしてるんだ」
「へぇ、あたしもカノコ出身なんだ」
「一緒だね」
「幼馴染みとかいる?」
「うん、同い年の男の子と女の子」
「僕もいるんだ。名前はチェレンとベル」
「偶然。あたしの幼馴染みも同じ名前」
「旅をしていて辛いことってある?」
「勿論。いきなり世界に関わる大事件に巻き込まれたりした時なんかね」
「あたしも。いきなり君は世界の英雄だとか言われても受け止められないよ」
「うんうんわかる」
「会いたい人がいるんだ」
「その人はどこにいるの?」
「わからない。捜しても捜しても、見つからないんだ」
「いつか会えるといいね」
「さよならって言うだけ言ってどっか行っちゃうんだもんね」
「こっちは何も言いたいこと言えてないのに」
「もっとちゃんと向き合って話をしたかったなあ」
「本当。こっちの気持ちも考えろって感じ」
「合わせ鏡の世界って信じる?」
「自分の住んでる世界と全く一緒の世界ってやつ?」
「そう。そこでは何もかもが鏡のように全く同じなんだ」
「そんなのがあるなんて考えたことないなあ」
「でも、信じざるを得ないよ」
「うん、だって僕らは」
「「同じなんだから」」
「同じ時間、同じ場所で同じ人生を歩んできたのに」
「どうして名前と性別だけが違うんだろうね」
「名前も似てるし、顔だってそっくりなのに」
「何か理由があるのかな」
「トウヤくん」
「何、トウコちゃん」
「あたしたち、どうして出会っちゃったのかな」
「さぁ。普通なら一生会えない筈なのにね」
「トウコちゃん」
「何、トウヤくん」
「僕たち、どうして触れあえないんだろう」
「わかんない。姿は見えてるのにね」
「会いたい」
「あたしも会いたいよ」
「こんなに近いのに」
「凄く遠い」
「いつか、そっちの世界に行ってみたいな」
「その時僕はそっちの世界に行きたいな」
「いいね、行き合いっ子しようよ」
「楽しみにしてる」
「もう行かなきゃ」
「時間って早いね」
「約束、忘れないよ」
「空中指きり。針千本のーます!」
「はは、笑えないや」
「それじゃあトウヤくん」
「じゃあトウコちゃん」
「また、ね」
「うん、また」
それではまた、来世で
20120219 / bamsen