リビングのソファーに腰掛けてぱさぱさと乾いた音をたてながら新聞を読む緑色で大きくて大好きな背中。ていうか何で家の中でもコート着てるの?そんな背中に私はタックルをかました。
『ダディー!』
「ふぐっ」
『おはようダディ!』
「お、おはよう・・・」
『ダディ、今日が何の日かわかる?』
「今日・・・ああ、ホワイトデーだね。」
『そう!だからね、バレンタインにチョコくれたダディにお返しがあるの!』
「本当かい?名字からのお返しか・・・」
『うん、じゃあこれして・・・』
「何で目隠し!?」
ダディの目に黒い布を被せて頭の後ろできつくリボン結びをした。視界がいきなり真っ暗になって少し慌てるダディがいつものかっこいい姿からは想像出来なくてちょっとかわいいと思った。
『じゃあ口開けて!』
「名無し・・・変な物を突っ込む気じゃないだろうな」
『んーとね、黒っぽくて固くて少し苦くて長いやつ!』
「なん・・・だと・・・・・・」
何を想像したのかわからないけどダディは口を開くのを少し躊躇った。遠慮がちに開かれたダディの口に私は頑張って作ったチョコレートバーを突っ込む。
『はい、あーん!』
「ふが!!」
『おいしい?』
「あ、ああ・・・」
『よかった!ダディのために頑張って作ったんだよ!』
少し食べにくそうにもごもごと口を動かしてチョコレートバーを頬張るダディ。
『あ、そうだネジキ君にもお返しに行かなきゃ!行ってくるね、ダディ。』
「なにっ!ネジキだと!?待て名字!目隠しを取っていけ!」
(くそ、取れない・・・)
(おはようダ・・・)
(その声はジュンか!?違う、これは誤解だ!)
(ダディなんか嫌いだああああ)
(待て!ジュン!目隠し取ってくれ!)
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バレンタインの夢を書いてないけど
ホワイトデーの夢を書く。
10.02.18
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