※GO
キャラが多いので括弧の前に頭文字の表記があります。主人公は3年


「海に行くぞーーー!!」


勢いよく部室の扉を開けて叫ぶと、それまで談笑の声で賑やかだった部室が水を打ったように静まり返った。扉の近くにもたれかかっていた京介君はいつものように腕を組んだまま固まって黄金色の目をぱちくりさせている。


神「名前さん、きゅ、急に海って…どうしたんですか?」

『夏ももう終わっちゃうし?円堂監督に海行きたいです!って言ったら今週の土曜にサッカー部で海だって!』

剣「めんどくせぇ、俺は行か」

「全員参加です!」

剣「はぁ!?」

「土曜日の10時、校門に集合ね!じゃ!」

天「嵐みたいな奴だど…」

三「ああ…ホントにな…」







松「おっ遅れてすみません!」

「天馬君遅いよー!」

松「すみません…これ用意してたんです!」

西「わぁ、スイカだー!」

霧「わざわざ買ってきたのか?」

松「いえ、秋姉が持たせてくれたんです!」

浜「ノリ気じゃなかったけどなんか楽しみになってきちったー」

「よーし!じゃあみんなキャラバンに乗り込めー!」

速「あ、あの…名前さん、円堂監督は…?」

「現地集合!」


10時15分、私たち雷門イレブンのを乗せたキャラバンは海へと走り出した。私も剛一の隣に腰を下ろしてカバンの中から持参したお菓子を取り出す。出発して早々食うのかよ…的な表情で見られたけど気にせずにキャンディーの袋を開けた。


「何味がいい?」

車「いらな」

「何味がいい?」

車「……ソーダ」

「はい」

私はグレープ味のキャンディを一つ口に放り込んで通路を挟んだ隣の席に座る大地と太一にもオレンジ味とコーラ味をおすそ分けして後は後ろの座席に回してみんなにも食べてもらった。蘭丸君はやっぱりストロベリーかな。(色的な意味で)みんなにキャンディーが行き渡って私の元に返ってくるまで2分たらず。横からは既にごりごりとキャンディーをを噛み砕く音が聞こえる。


「剛一って噛み砕く人だっけ?」

車「なんとなく」

「じゃあじゃがりこあげる。存分に噛みたまえ」


何も言わずに受け取った剛一はべりっと蓋を剥がしてサラダ味のじゃがりこをばりばり食べだした。横から大地がポッキーを差し出してくれたので遠慮なく10本ほどもらった。(私の大好きな極細!)「取りすぎだど!」と怒られながらもポッキーをほお張る。うまい!楽しい雰囲気に包まれてキャラバンは走り続ける。案の定寝ていたであろう天馬君が起きたらしく「わあ、海が見えるー!」とはしゃぎ出す。もうすぐ到着のようだ。
10分もしない内に止まったキャラバンの窓からは真っ青な海が一面に広がっている。続々と砂浜に下りたメンバー達は歓喜の声を上げる


円「来たか、お前達!」

「あ、円堂監督。」

円「バーベキューやビーチパラソルの用意はしてあるから着替えて来い!」

「バーベキュー!!」

円「おう!名字も着替えて来い!」

「ワーイ!蘭丸君一緒に更衣室行こう!!」

霧「怒りますよ」


今日のために押入れの奥から引っ張り出した水着(一昨年購入)の上にパーカーを羽織って日焼け対策も十分に、ビーチサンダルを履いて浜辺に戻ったらメンバーはすでに揃っていた。さすが男の子、早いねー!


「あれ、蘭丸君トップレス!?大胆ー!」

霧「怒りますよ」

浜「ていうか名前先輩パーカー着用〜?ざーんねん」

「幼児体系の私に体を晒せというのか!!!」

浜「霧野なんてトップレスですよ?」

霧「そろそろ怒っていいか?」

円「よーしお前等!とにかく遊べー!!」


円堂監督の声で一斉に海に走り出すメンバー。青春だ…私は近くの浅瀬にスイカでも冷やしておこう。そこらに転がっていた石で仕切りを作った中にスイカを置いて戻るとビーチパラソルの下で速水君が体操座りをしていた。


「速水君みんなと一緒に泳がないの?」

速「あ…僕日焼けすると肌がヒリヒリするんですよ」

「じゃあ一緒に砂のお城作ろうよー」

速「名前さんこそ泳がないんですか…?」

「んー今はいいや!バケツに海水汲んでくるから砂の山作っといてー!」

速「………」(ぺたぺた)

「うわでっか!どんだけ大きいお城作るつもりなの!」

速「どうせなら大きいの作りましょうよ」

「おっやる気だねー!よし、作るぞー!」


円堂監督が持ってきたバーベキューやらの道具の中になぜかスコップがあったのでそれを拝借して私と速水君は砂を削って形を作りながら黙々とお城を作った。


速「で、出来た…」

「これはなかなかいい出来なんじゃない!?」

速「ですね。すごい…」

「円堂監督ー!!」

円「何だ何だ?おっすごいじゃないか!お前等2人で作ったのか?」

「えっへん!どんなもんですか!」

円「へー、すごいなー」



シュルルル ドシャッ



「………」

速「………」

円「………」

今起こった事をありのまま説明するぜ…一時間ほどかけて完成させた砂のお城を鑑賞していたらいきなりビーチボールが飛んできて砂のお城に当たって崩 壊 し た んだ…きっとサッカー部のやつらの事だからビーチボールでサッカーでもしてたんだと思う。


「コラァアア今ビーチボール蹴ったの誰だぁああああ」


あっ倉間が一番に目反らした。犯人はアイツだ!


「くぅうらぁああまぁああ!!!!」

倉「不可抗力ッス!」

「問答無用!許さん!!!!」

倉「ギャアアアア」


長時間に及んだ追いかけっこ(?)は、砂浜に足を取られて転んだ倉間君を私が背負い投げで海に放り投げるという結果になり幕を閉じた。倉間君を放っておいてバーベキューに参加しようと思ったけど(知らないうちに始まってた)さすがにそれはかわいそうなので海から引き上げて一緒に行こう。じゃぶじゃぶと海に入って浅瀬でげほげほと咽ている倉間君に手を差し出す。


「ほいっ一緒にバーベキュー行こ!」

倉「……お返しッス」

「おぎゃー!!」


握り返された手を思いっきり引っ張られてそのまま海にダイブした。


「許さんぞ絶対にだ」

倉「お互い様でしょ」

円「お前等びしょびしょじゃないか!」

「倉間君が「名前さんが悪い!!」」

円「そーかそーか!いいから食え!」

そうだ食べればパーカーも乾くしきっと忘れる!よし食べよう!信助君が手渡してくれた紙皿とお箸を受け取って、そのお皿の上に円堂監督がお肉と野菜を乗せてくれる。肉うめー!

神「名前さん、飲み物どうします?」

「拓人君は何飲んでるの?」

神「カルピスです」

「じゃあ同じの!」

神「はい、どうぞ」

「あんがとーあ、京介君カボチャ取って」

剣「ほらよ」

「ニンジンも。あとお肉」

剣「人を使うな!」

「京介君の方が近いんだからいいじゃんかー」

松「剣城、俺にも!」

剣「お前は自分で取れ!!」

松「ちぇー」

「信助君お肉いる!?野菜は!?」

松「わぁい!ありがとうございます!」

「ウオオオめんこい!!はいっあーん!」

西「あーん!」

松「名前先輩!俺にも!」

「ただし天馬テメーはダメだ」

松「なんでですか!」

「カボチャの皮あげようね」

松「いらないです!!」


お肉をたらふく食べてさらにパーカーを脱げない体系になった私はちょっと休憩した後、浅瀬で冷やしておいたスイカをもって来た。


「太一に割ってもらう?」

天「粉々になって食えなくなるど」


スイカ割りみたいな感じで太一に割ってもらおうと思ったけどゴールキーパーならではの強靭な腕力で粉々になると大地が申し出たので大人しく包丁で切る事にした。綺麗に切り分けたスイカはどんどんと減って、私も一切れをかじった。長い間海水に浸けておいたスイカはよく冷えている。


「おいひい!」

三「種付いてるぞ」

「付けてあるの」

三「そうか。すまん。」

「嘘です取って下さい」

三「ったく…ほら、取れたぞ」

「スイカ食べ終わったらあそこの高い所から飛び込み大会しようよ」

浜「ゲッあんな所から飛ぶの〜?」

「飛べなかったり不参加の人は海の屋台でみんなにカキ氷奢りね〜」

倉「強制参加じゃん…」

「円堂監督もやりましょうよ〜」

円「おもしろそうだな、やるか!」

「よ〜し、じゃあ決定!」

天「なんで俺の背中に登ってるど?」

「あそこまで連れてってもらおうと思って」

天「自分で歩くど!!」

「さっ早くしないと置いてかれるよ」

天「いつか仕返ししてやるど…」


高台にたどり着いた素直な感想は想像していたよりも 高 い 大地におんぶされてるから余に TA KA I なんだこれ…おい…飛べる気がしないぞ…大地の背中からそっと降りて下を覗き込むと高い。高い!高いぞぉおおおお!!!そんな私を見ながら蘭丸君がニヤニヤと笑ってる。


霧「あれ〜?名前先輩怖いんですか?」

「バババババカ言うな怖くねーし!」

霧「足めっちゃ震えてますよ」

「残像だ」

霧「それ震えてるって事ですよね」

「ならばまず君が飛んでみたまえ」

霧「いいですよ」


私をバカにするようにフッと笑った蘭丸君はためらう事無く一気に崖の下へと消えた。まじかよ…ザプンと大きな音が聞こえて崖の下を見ると、海から顔を出した蘭丸君が大きく手を振っていた。


西「うひゃ〜…霧野先輩すごいなぁ…よーし、僕も!」

松「俺も〜!」

剣「俺も先に行くぜ」

一年すげぇ…とんでもない勇気だ…そんな3人に釣られたように泣きそうななりながら拓人君と速水君も崖の下へと消えた。ぶっちゃけすごく怖くて飛べません。ああああああ足が震えるぜ!


円「名字!一緒に飛ぶか!」

「へっ!?」

円「怖いんだろ?」

『べ、べべべ別に怖くなんか…!』

円「じゃ俺が怖いから一緒に飛んでくれ!」

「そ…そういう事な、らぁ!?」

円「しっかり掴まってろよ!」


円堂監督にいきなりお姫様抱っこされたと思いきや助走をつけ始めた。そんな勢いよく飛ぶの!?「よし、行くぞー」なんていう陽気な声と裏腹に私の心臓はバクバク言って心の準備もまだ出来て、な…「それっ!」あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!


「ぎゃあああああ!!」

円「大丈夫だ!しっかり掴まれ!」


パニックになりながらもありったけの力で円堂監督にしがみ付いて数十メートル下の海水にダイブした。そこからの記憶は…無い…情け無い事に気絶したらしい。結局私たちが飛び込んだ後、みんな飛び込んで円堂監督の奢りでカキ氷を食べたらしい。太一のおんぶでバスに戻った私は気づいたら家に居ました…(後日円堂監督談)




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全員と絡めてるはず。
もう残暑も終わるから焦って書いた


11.09.14










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