パチン、パチン…パチン
かれこれ数十分前から教室に響く一定の音が止んだ。俺はホッチキスを乱暴に机に置くと、背もたれに体を預けながら大きく背伸びをする。向かい合って日誌を書いていた名字はシャーペンを動かしていた手を止めて俺の方を見るとクスリと笑った。


「疲れちゃった?」

「別に。疲れてないけど細かい作業は苦手なんだ。」

「早く外でサッカーしたいよね。付き合わせちゃってごめんね」

「(不本意ながら)俺達が学級委員(になっちまったん)だし名字が謝る事無いだろ」

「じゃ、早く終わらせちゃおっか」


そう言った名字は再び日誌に目線を落としシャーペンを動かし始める。釣られたように俺もホッチキスを手に取ってプリントを止める作業に戻るけど、はかどらない。名字の手元にちらりと視線を向けると、俺とは対照的で(自分で言っててちょっと悲しくなった)綺麗な文字がすらすらと紙の上に並んでいく。


(指、細いな…)


「ね、佐久間君」

「おう!?」


しまった、名字の指に見とれてて完全に不意討ちだったから変な声出ちまった。ほら、名字笑ってる。くすくすと小さく笑った後に紡がれた言葉は「遅くなっちゃったね」振り返って時計を見ると単身は既に6時を指している。後30分もすれば部活も終わるだろう。終わったら参加するつもりだったけど無理そうだな。諦めるか。


「思ったよりかかったな。」

「もう部活終わっちゃうよね、ごめん。」

「なんで名字が謝るんだよ。気にすんな。」

「佐久間君は優しいね」

「優しくねーよ」

「そっか」

「おう」

「……」

「……」

「……」

「なぁ」

「なぁに?」

「帰り…さ、ファミレスでなんか食って帰ろうぜ」

「え、」

「こんだけ遅くなったんだし、どうせだから」

「いいの?」

「何が」

「私、行っても」

「何が悲しくて男一人だけでファミレス行かなきゃなんねーの」

「ふふ、そうだね。じゃあお言葉に甘えて」


かっこつけたいから、今日はパフェ食うのやめよう。





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リハビリ
学級委員の設定が生かされてない



11.08.23










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