※性転換


「おいしそうな物食べてるね」

「ヒロトも食べる?はい、あーん」

「(もぐもぐ)うん、おいしい。」


名前が差し出してくれたフォークの上に上品に乗ったケーキは俺の口の中でとろりと溶けて口いっぱいに幸せな甘さが広がる。午前中の練習で疲れた俺の体には嬉しい甘さだった。


「ところでこのケーキどうしたの?」

「イタリアエリアで買ってきた!」

「名前は甘い物好きだよね」

「うん、大好き!」


生クリームを口端に付けて小さな子供のように笑う名前の笑顔に、俺の心までぽかぽかとした気分になる。口端の生クリームを指で取って口に含むとさっきと同じ幸せな味がした。ふと視界に入った豪炎寺君は何とも言えない複雑な顔をしながら近づいて来る。


「お前達…ここは食堂だぞ。」

「豪炎寺君も食べる?あーん!」

「いや、遠慮する。」

「なんだー」

「じゃあ俺が貰う。ところで何か用だった?」

「ああ、これを名字にと思ってな。」

「わあ、綺麗!飴?」

「恐らくな。」

「へえ、豪炎寺君が買ったの?」

「いや、日本エリアを見て回っていた時に店の人にもらったんだ。生憎俺は甘いものがあまり好きじゃないからな。」

「ありがとう豪炎寺君!」

「もらい物だ、気にするな。」


名前の手の中にあるのは小さなポリ袋に入って丁寧にリボンをかけられた二色の飴玉だった。ずっと見ていると不思議な感じに思える少し妙な色の飴玉だ。どんな着色料を使っているんだろうか。普通の飴玉なら大体見た目の色で何味かは判断出来るけど、それが不可能なほど複雑な色をしている。大丈夫なのかな、この飴…



「なんか変な色だね」

「うん、不思議な色してる。」

「一粒あげるよ。一緒に食べよ」

「くれるの?」

「うん、どっちの色がいい?」

「うーん、じゃあ赤い方を貰おうかな。」

「じゃあ私青ね」


ぱく。コロコロ。口の中で転がる飴玉は見た目に反して普通に苺の味だった。


「ヒロトの何味だった?」

「苺だよ。名前のは?」

「ソーダ」


名前の飴の味を確認するためにキスしようとしたら「お前らいい加減にしろ!」って怒鳴る豪炎寺君に食堂を追い出された。あんなに怒らなくってもいいのに。仕方ないから名前の部屋に移動する事にした。俺の部屋はジャージやユニフォームで少し散らかってるからね。それに名前の部屋はいい匂いがするし。ベッドで横にならせてもらってゴロゴロしてるとどんどん瞼が重たくなってきた。ばきっ、完全に意識が飛ぶ前に飴を噛み砕いておこう。ばふっという音と共にベッドノスプリングが軋んで名前が俺の横に寝転がったのとほぼ同時に視界はブラックアウトした。あれからどれだけ時間が経ったのかわからないけど空はほんのりオレンジ色がかかった夕暮れだった。


「あれから随分寝ちゃったな…」


…あれ?声が高くなってる?ジャージの袖も余ってる。ベッドから立ち上がってみると目線がいつもより低い気がするし嫌な予感しかしない。バタバタとお風呂場に走って脱衣所で鏡を見てみると思った通り。髪も睫も伸びてて顔も少し丸くなってる。胸もある。お、女になってる…っていう事は名前は…


「ギャアー!男になってるぅー!」


やっぱりか!



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性転換してセックスあああんっていうの書こうと思ったけど力尽きました。気力と需要があればいずれ書きます。

11.03.18









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