ガラガラ、パタン。
人気の無い職員室の扉を開けると大好きな後ろ姿を見つけた。


『久遠、監督…』

「何だ名字。下校時間は過ぎているぞ。」


監督はこえで私を判断して手にしたプリントから目を放さずに素っ気なく私の名を呼ぶ。
ぺたり、ぺたり。薄っぺらい上靴の音を鳴らして椅子に腰掛ける監督の後ろまで歩を進める。


「何か用か。」


ああ、監督は今日も冷たい。


「用が無いなら帰るんだ。」


監督はプリントから目を離さない。ちょっとくらい私を見てくれたっていいのに。監督の肩に軽く触れてそこからするすると手を滑らせて後ろから首元に抱きついた。ぴくり、と揺れた肩がたまらなく愛しい。ああ、監督の匂いがする。


「何の真似だ。」

『監督が、好き、なんです』

「………」

『わかってます。監督が結婚している事も、冬香ちゃんっていう娘がいる事も。』

「大人を、からかうな。」


ぱさり、ようやくプリントを机な上に置いて私の腕を軽くあしらうとくるりと椅子を回して私に向き直った。


『監督、私、本気です。』


こっちを向いた監督の膝の上にまたがるように座る。監督の眉間には小さく皺が寄せられはぁ、とため息を吐かれる。それでもいい。今監督の目に写ってるのは私だけだから。


『監督、私の事嫌い、ですか?』

「………いや、」


その先を言いかけて監督はぎゅっと口を結んだ。その先を聞かせて下さい、監督。


『かんと、く…』


フリーズ。
いつもより強く感じる監督の匂いと唇に伝わる私より少し低い体温。


「10年、だ。」

『え?』

「後10年経ってその気持ちが変わらなければもう一度私の前に来い。答えてやる。」

『監督…』

「せいぜいいい女になれるように頑張るんだな、名前。」


そう言ってふっと笑った監督は机に向き直ってもう一度プリントを手にした。唇が、熱い。



(赤いルージュが似合う女になりたいの)


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相互記念にステルス迷彩使用中の
しゃる様に捧げる監督夢。

監督好きだけどわからん
一人称私でいいのかな。









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