※吹雪女体化




「名前ちゃん!見て見て!」

『どうしたのふ、ぶき、く、ん………なんてこった』

「パンナコッタ!」

『いや今そういうボケいらない』


とりあえず私は目の前の事実を受け入れられるはずもなく呆然、というかびっくりする事しか出来なかった。それもそのはず、にこにこと笑いながら私の部屋を尋ねてきた吹雪君はいつもより少し縮んだ身長、いままでの練習や試合などで付いた逞しいの筋肉は無くほっそりとした脚、そして極めつけは余分な脂肪が付いていた。そう、胸である。所謂おっぱいである。


『なにこの無駄にふくよかな胸部』

「朝起きたら付いてたよ。えへっ☆彡」


いや、えへっ☆彡じゃねぇよ日本代表ともあろう男の子がそんなうらやま…違う、けしから…違う、そんな性別に反した物を付けていてはダメだろう。


『これホントに付いてるの…?』

「うん、そうみたい」

『触ってもいい?』

「うん、いいよー」


本人の許可も降りたので私は遠慮無く吹雪君の胸部に付いている脂肪のかたま…胸に手を伸ばした。(脂肪の塊なんて言ってたら世の中の女性にフルボッコにされるかもしれない。自分も女だけど。)手のひらに収まらないほどのそれはマシュマロのように柔らかくてずっしりと重たい。指先に少し力を入れればむにむにと指は胸に沈む。ちょ、あれ、これ私よりデカいよね確実に。私はれっきとした女で吹雪君は男、後付けした胸の方がデカいってどういう事だろうか。私は吹雪君の胸を鷲掴みしたまま無性に泣きたくなった。


「いたたた、名前ちゃん痛いよ触り方に悪意が籠もってるよ」

『ああごめんつい腹が立って』

「大丈夫だよ僕は貧乳もおいしくいただけるから」

『うんちょっと黙れ。ところで吹雪君ノーブラ?』

「当たり前じゃない。朝起きたらこうなってたんだもん。名前ちゃんのブラジャー借りたいけど小さくて入らないだろうし」

『もう一度言うぞ、ちょっと黙れ。いつ戻るかは別としてノーブラはまずいから一緒にブラジャー買いに行こうか』

「うん、行くー!」


縮んだ吹雪君には私の服を着せて(胸部がぱつんぱつんだった事に殺意が湧いた。)私も私服に着替え秋ちゃんに外出許可を貰ってイギリスエリアのショッピングモールに来た。ジャパンエリアでもよかったけれど外国の下着はかわいいしイギリスエリア近いしどうせならそっちがいい。私が。


『とりあえずサイズ測ってもらいなよ』


いかにも下着専門店の店員ですといった感じのフェロモンムンムンのお色気お姉さんはメジャーを吹雪君の胸部にくるくる巻き付ける

「Eカップですね」

「わあ、僕巨乳!」

『な、んだ、と………』


あり得ない、まさに胸囲の侵略者。私だってCカップだというのに!テンションが極限まで下がった私を余所に吹雪君はご機嫌な様子で下着を選んでいる。腕の中にはやたらと派手な下着がたくさん抱えられている。ピンク率高くね?


「名前ちゃん買わないの?」

『え、ああ…買おうかな』

「おそろいとかよくない?」

『ああうんいいね、おそろい』

「僕あれがいいなぁ」

『あ、それかわいいそれにしよっか』


吹雪君が指差したのは黒地にピンクのストライプが入ったかわいくもセクシーな下着だった。吹雪君はEカップ、私はCカップのを手に取りレジへ行き、買い物は終了。大浴場で皆と一緒にお風呂に入るわけにもいかず、吹雪君は部屋に備え付けられているお風呂に入ったらしい。私がお風呂上がりに部屋でいたら不意にドアがノックされた。


「名前ちゃーん、僕だよー」

『吹雪君。どうかした?』


ドアを開けるとそこには昼間買った下着を両手いっぱいに抱えた吹雪君が立っていた。


「おっぱいなくなっちゃった!だからこの下着あげる!はい!」

『えっ、ちょ、おい待ちやがれ二重人格野郎!』


私の手に下着をごっそりと預け吹雪君はさっさと帰ってしまった。私の手の中にはカラフルな下着達が虚しそうに詰まっている。あげるも何もサイズ合わないってわかってるくせに嫌がらせだろうか。こうして私のタンスの引き出しにはこの先使う事は無いであろう下着が大量に増えたのであった。


(ちくしょう!お前なんか大嫌いだ!)



10.12.08








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