これの続き


「名字」

『あ、源田。どうかした?』


3時限目の移動教室が終わって教室に帰る途中、名字の後ろ姿を見付けた。先日の黒レースパンチラ事件(佐久間にはネーミングセンス最悪だな、と言われた)の事もあって、声をかけるのは少し怖かったけれど名字は案外普通だった。


「その、今日の昼休み、空いてるか?」

『昼休み?うん、暇だけど。』

「よかったら一緒に学食、行かないか。奢る。」

『え、何で!?』

「えと、その…この前俺、名字のぱぱぱぱはんつを…見」

『うわあああもう言わなくていいから!わかったから!』

「す、すまん…」

『それのお詫びって事でしょ?』

「そういう事だ」

『それなら遠慮無く奢ってもらおうかな!』

「じゃあ、また昼休み。」




昼休みの学食はいつも生徒で溢れている。帝国の学食は美味いからここで済ます生徒も少なくない。俺の隣にいる名字はもっぱら弁当らしく、めったに来ない学食のメニューを見て何にしようかとうんうん唸っている。


「決まったか?」

『待って!もう少し!カルボナーラか…ドリアも美味しそう。ハンバーグも…ううっ、源田はいつも何食べるの?』

「俺は…そうだな、カツ丼とかカレーとか。」

『おお…運動部の男子っぽい』


その基準はよくわからない。あー、カツ丼も美味しそう、とかサンドイッチも捨てがたいなー、とか言いながら未だ迷う名字は少し可愛かった。『よし、決めた!』メニューからガバッと顔を上げた名字は俺に言い放った。


『オムライスで!!』


ああ、確かに学食のオムライスは卵がふわふわとろとろで美味い。俺は香草焼きドリアでも食べる事にしよう。




『美味しかったー、満足満足!ごちそうさま!』

「そうか、よかった。」


意外とデカかったオムライスをぺろりと完食した名字はぴょこぴょこと俺の横を歩く。そんな細い体の何処に入っていくんだか。かつんかつんと足音が響く渡り廊下からグラウンドを見渡せば元気のいい生徒達の声がよく聞こえる。今日は朝から風が強いのによくやるな。


『学食奢ってもらえるなんてパンツ見られてラッキーかもね!』

「バカ言うな。」

『冗談冗談!』


えへへ、と子供のように笑いながらたんたんとリズミカルに階段を上る名字の足取りはどこか危なっかしい。なんだか放っておけない気がしない、事もない(佐久間にはよくお前曖昧なんだよ、と言われる。)


『また一緒に学食でご飯食べよっか。』

「ああ、それもいいな。」

『佐久間とかも誘っうぉあ!』

「名字!」


俺の方を振り返りながら階段を上っていた名字は案の定の段差につまずき、あと一段という所で大胆にも顔面から廊下にダイブしていた。パンツ丸見えというサービス付きで。2秒後、体を起こした名字の上靴が俺の鼻にクリーンヒットして俺は廊下に赤い液体をブチ撒ける事になった。


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リ、リハ…ビリ………


10.12.01








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