※男主
『俺の事なんか全く知らないと思うしそんな奴に告白されても困るだろうけど、好きです。付き合って下さい。』
「……………てる、」
『え?』
「お前の事は知っている!つ、つつつつつきっつつ付き合ってやらん事もない!」
誰かと付き合ってるという噂どころか、好きな人がいるなんていう噂すら一切聞いたことがないお堅い学園のマドンナ、八神玲名に告白をしてまさかのOKをもらったのは5ヶ月前。
「お、おい!」
『何?』
「いや、特に用があるわけではなくて、そ、その、あのっ………えと………………名前……っ」
それはそれは恥ずかしそうに、真っ赤に染めた顔を俯けながら必死になって俺の名前を読んでくれたのが4ヶ月前。
「名前、手を寄越せ」
『はい、どうぞ』
「っ………!」
『いだだだだだ』
あり得ない力を籠められて指の骨が折れるかと思ったけれど、初めて手を握ってくれたのが3ヶ月前。
『ほら、早く目閉じて』
「わっわかっ…分かってる!」
『じゃ、いくよ?』
「ちょっと待て!」
『いだぁ!』
「ほ、頬にしろ!それ以外は許さん!!」
土壇場になって恥ずかしくなった玲名にビンタをされつつもキスをさせてくれた(ほっぺただけど)のが2ヶ月前。
「少しでも触ったら殺す。こっちを向いても殺す。」
『はいはい。分かったってば。』
「おい!今尻を触っただろう!」
『触りたいとは思うけど触ってなぶへっ』
「一言余分だ!」
無理だろうと思う厳しい条件ながらも一緒のベッドで寝てくれたのが1ヶ月前。朝目が覚めた時、腰に玲名が抱きついてて爆発しそうになったのは秘密だ。何がって…ナニが。
ふっくらとしたピンク色の唇に口付けさせてくれたのが2週間前で、触れるだけ、ほんの一瞬だったけど玲名からキスしてくれたのが1週間前。
『ねぇ。』
「なんだ。」
『膝枕してよ』
「スーパーノヴァ?」
『聞き間違えあり得なくない?』
「なぜ私が膝枕などしなければいけないんだ」
『いーじゃん。ね、お願い。』
「…………………特別だからな」
『ん。ありがとう。』
淡い水色のシフォンワンピースから伸びる太ももにごろりと頭を乗せると、甘く優しい匂いが鼻孔をくすぐった。ふわふわであったかくて気持ちいい。どんどんと瞼が重くなって行くのを感じる。完全に瞼が閉じて視界は黒く塗り潰された。ぼんやり意識はあるけれどなかなか重い瞼を上げる気にはなれない、と考えていたら不意にぷにゅっとした感触が唇に触れた。意識は一発で覚醒した。重たかった瞼を上げて玲名を見れば少し焦ったような顔をしている。
『玲名ってば、大胆。』
次の瞬間俺の後頭部は固い床とごっつんこしたのであった。
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膝枕されたいのは俺です
10.11.28
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