「月詠!」
「花南」


ごめん待った?と言いながら私は月詠に駆け寄る
いいや、と微笑みながら手を振る月詠は本当に大人の女性だ


「最近はどうじゃ」
「うん、いい感じだよ。月詠には感謝してる」
「わっちは何もしとらん」
「そんなことない、月詠と日輪さんのおかげで新しい住む場所も決まったんだから」
「日輪にも直接言うといい」


そう、月詠は笑う
そうだあれから日輪さんにまったく会っていない
そろそろ会いに行かなきゃな、晴太くんにも会いたいし


「うん、そろそろ顔出しに行くよ」
「そうじゃな、それがよい
 いつ空いておるのじゃ?」
「う〜ん、この後暇だし日輪さんがいいな「ん?銀時?」・・・えっ・・・」
「よォ、奇遇じゃねーの」


その声に体がこわばるのがわかった
月詠の見ている方に目をやるとやはり予想通りの
銀髪のあの人。
坂田銀時さん・・・私の想い人



「何をしておる」
「いやァ・・・ちっと負けてな」


そういって月詠の隣に座る坂田さん
手はパチンコをするポーズをしているからきっとパチンコに負けたのだろう
ダメだ、ドキドキして月詠の方を向けない
だ・・・団子食べて落ち着こう・・・


「何、それ食わねェの?」


もーらいっ、と月詠を跨いで坂田さんが身を乗り出す
一瞬近くなった距離に私は思わず手を引っ込めてしまった


「これは花南の団子じゃ!何をしてる!!」
「痛ェ!団子くらいいいじゃねーかァァ!」
「花南が遠慮して手を引っ込めたではないか!!」
「つ、月詠!」


私は別に・・・!と言う前に坂田さんは
そうなの?そりゃすまねェな、そう言って私の顔を見る
坂田さんが私を、見てる。



「え?!あっ!いやあの・・・どうぞ・・・お腹もいっぱいですし・・・」
「まじで?!いやァ!あんがとな花南ちゃん!!
 花南ちゃんは月詠と違って優すィー」


またバチン、と音が聞こえてすぐに坂田さんが痛ェ!!と叫んだから
きっと月詠にでもぶたれたのだろう



「あはっ」
「・・・何が面白いんじゃ、花南」
「ご、ごめん・・・ふふっ」



大好きな月詠と坂田さんとこうして団子を食べながらのんびりできるのって
とっても幸せなことだなぁ、と思いながら心がふわふわと浮き立つ



「そうだ、これやるよ」


そういって坂田さんが着流しの中を
ごそごそあさりながら取り出したのは何かのチラシ


「プラネタリウム?」
「あぁ、なんか餓鬼共がこれ行って心を洗い流してこいっていうんだけどよォ
 俺が1人で行くってすっげェ酷じゃねェーか」



ちょうどいいしお前も行かねェか?そういって月詠にチラシを差し出す坂田さん

あァ、まただ また


今の坂田さんの目には月詠しかうつっていない


「ふむ、プラネタリウムか・・・どうじゃここは花南も3人で行こうではないか」
「え?!いや、私は・・・」
「なんじゃ?どうせこの後は暇だと言っていたではないか」


そうだった。そういえばそんなこと言ったかも・・・
どうしよう、坂田さんも今回は絶対月詠と2人で行きたいよね

月詠はきっと坂田さんが月詠に想いを寄せてることを知らない
だからいつも私を誘う。そして断れなくて結局ついて行ってしまう
坂田さんに心で謝りながら、それでも私は坂田さんといれることが嬉しくて
ムリに断ることができないのだ

たとえ、私が邪魔者であっても 坂田さんの月詠へのアピールを見ることになっても
それでも私は坂田さんといれる、という事実をとってしまう

でも今回は、


「わ、私日輪さんに会いに行こうかな・・・」
「そうか、なら銀時悪いが「月詠は!・・・さ、行っておいでよ」・・・しかし・・・」
「花南ちゃんも暇ならいこーぜ
 日輪ならプラネタリウム終わった後でもいいんじゃねェの?」


俺も久しぶりに晴太に会いに行くかァ
なんて言いながら何食わぬ顔で背伸びをしている

坂田さんはとっても優しいからこう言ってしまうんだろうな
ごめんなさい、坂田さん。私は――・・・


「じ、じゃあ行こう・・・かな?」









 知ってるよ、好きだから 
 (また私は2人の後ろ姿を見ながら)




title : 確かに恋だった様




prev | next


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -