Happy Birthday*憂


桜ももう散ってしまった4月19日。始まりと別れのこの季節、私は今までの事を思い出していた。

星月学園にいたころ。本当に毎日が楽しくてしかたがなかった。女子が、私を合わせて2人しかいなかったのだけれど、男子がすごく優しい人ばっかりでいつも支えられていた。もちろん、中には不良のような人もいたけれど、その人たちとも仲良くなった。(とは言っても、哉太が喧嘩した後で仲良くなったのだけれど)

学校生活の中で、私に大切な人が出来た。大雑把で豪快だけれど、不器用で、臆病者な生徒会長の不知火一樹。好きだったわけじゃない。むしろ苦手だった。強引な人、と言うものが苦手だ。

どうして付き合うようになったか。皆にはありえないと言われたけれど、私には十分な理由だった。ただ単に私が負けたのだ。何度も何度もしつこくアタックしてくる一樹さんの勢いに負けた。

それからかな、段々と彼の魅力に惹かれて好きになって行ったのは。ああ、本当我ながら馬鹿だよ。どうでもよかった相手と、今日結婚しようと言うのだから。しかも、だ。式の日にちを自分で決めると言う、横暴。…ああ、6月にしたかった。ジューンブライド憧れてたのに。


『一樹さんって本当、馬鹿だよね』

「おいおい、式前にそんな事言うか?」

『だって、思ったんだもん』


まあ、そんな馬鹿な人に惚れてしまった私も私なんだけどね。一樹さんはにっこりと気持ち悪いほどに笑って、私をぎゅっと抱きしめた。ちょっと、髪の毛が崩れちゃう、そう言えば豪快に笑って、もっと強く抱きしめてくれた。…今度は髪の毛を気遣ってくれたけれど。


「本当、俺、幸せものだよ」

『わー、珍しい。そんな事言うなんて』

「アホ、いつも言ってんだろーが」


こつんとおでこを突付かれる。…そうですね。うざったるい程に甘い言葉を囁いてきます。…恥ずかしいけれど、すごく嬉しい。まあ、一樹さんに言ったら調子に乗ってくるから言わないけど。

私は背中に手を回した。そして、私は小さく呟いた。


Happy Birthday

いつまでも、愛してます。だから、一緒に幸せになろうね。



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