短編 | ナノ

 3年2組のとある放課後



女なんて理解不能な生きもんや。

と、苦虫を噛み潰したような顔をしとる白石に何も言えんかった。

当たり前っちゃぁ、当たり前っちゅー話や。



「何か言えや」

「それを求めんな」

「はぁ謙也は失敗やな」



小春かケン坊にすべきやったわ。

なんて、溜息混じりに呟かれた俺はどうしたらえぇんやろか。

結構、マジで困ってます。

こんなんやから、財前に謙也さんキモいッスわって言われんねん。



「あれ?白石、絶賛傷心中?」

「黒井、傷を抉るな」

「堪忍堪忍」



あっけらかんと笑うてるから、反省なんか絶対しとらん。

それを証拠に机にうなだれとる白石の頬をつついて遊んどるし。



「白石、女なんてあの子だけやないやろぉ?」

「せやけど、俺は好きやったんや」

「あの子がサッカー部の子好きなん知ってたやん」



コイツ、ホンマに容赦ないわ。

白石涙目やんけ。



「せやけど…」

「せやけど、せやけどってな。アンタ、告白もせぇへんかったやん」



きっつー。

有り得へん、この子。

傷抉りまくった挙げ句、ある意味、へたれ宣告やで。



「白石ぃ?聞いとるん?」



酔っ払いかっちゅうねん。

恐ろしい子ぉやわ、ホンマ。

白石、完全に突っ伏してもうてるやん。

肩震えとるねんけど…え?泣いとる?

あの完璧聖書の白石が?

ちょ、え?これ、ヤバいんちゃうん?

おい、黒井、白石の髪を引っ張るんやめや。



「白石、謙也で遊ぶんそれ位にしとかな、謙也が泣きそうやわ」



…………遊ぶ…?

What's…?



「黒井、謙也固まってもうたやん」

「謙也、ホンマに白石大好きやもんな」

「爽やかにキショいこと言わんの」



あれ?

白石泣いとったんとちゃうん?

めっさ笑顔なんやけど。

え?失恋は?



「謙也、ご苦労さん。アンタは白石に遊ばれる運命や」

「音子ちゃん、俺を遊び人みたいに言うんはやめなさい」



俺には聞こえへんで。

聞かへんで。

俺を玩具や、弄られ役や言うてる白石と黒井の声なんか、聞こえへん。

聞きたくあらへんっちゅー話や。





3年2組のとある放課後
(「あ、謙也」「何や」「俺、音子と付き合うとるから、失恋は暫くあらへんで」)
write by 99/2009/11/11







謙也は白石に遊ばれてればいいと思います。
白石が失恋したと勘違いされてる女の子の名前を白石はわざと言ってません。
「せやかて、好きやったんや」の続きは音子が。です。
ヒロインだもんよ。
むしろ、謙也で遊ぶのが。でも可能かな…?



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