短編 | ナノ

 悪夢を食べた獏



ふわふわふわり。

不思議な感覚。

歩いている筈なのに、いくら歩いても疲れないし、進まない。

募るのは焦りと不安。



「音子」



呼ばれているのに、周りは真っ暗で、誰も居ない。

それどころか、確かに知っている声の筈なのに、誰の声だかわからない。



「待って、どこ?ねぇ」



呼ぶ声は段々と遠ざかって、今にも消えてしまいそう。



「こっちだよ、音子」



届いたのは一筋の光。

やっと、前に足が動いた気がした。

光が大きくなって、世界が真っ白になった。



「おはよう、音子」

「おはよう、精市」



屋上の空を背景に、精市が微笑んでいた。




悪夢を食べた獏
(いつだってあなたの笑顔に救われる)
write by 99/2009/09/09




夢オチごめんなさい。
幸村の笑顔は黒くても白くても誰かにとっては救いになるんだと想います。
ただ、笑っていてくれるだけでいい的な。



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