短編 | ナノ

 ひどく残酷なちいさな世界




空が暗い。

君は、ジャングルジムの上でただ空を見上げてる。



「面白いか?」



問いに答えはない。

だって、俺と彼女は今はじめて言葉を交わした。

2年もの間、同じクラスだったのに、今日という日になるまで言葉を交わそうなんて思ったこともなかった。



「もうすぐだね」

「あぁ」



何処かで泣き声が響いていた。

夕暮れよりも暗くなっていく空は、押し迫るタイムリミット。



「最期に居るのが私でいいの?」



ジャングルジムの上で大きく手を広げた彼女を見上げた。

彼女の顔は空に向いたまま。

好きだったのかもしれない。

代わり映えのない日常に埋もれて、気付くことさえ出来なかったけれど、確かに彼女にそんな感情を向けていたのだろう。

一度たりとも、コートを見に来ないクラスメイト。

氷帝では珍しい部類の女。



「黒井、好きだ」

「私も、宍戸が好きだよ」



地球(ほし)が落ちて、君が嘆いていた。




ひどく残酷なちいさな世界
(地球最期の日、君と僕の最初で最期の愛の言葉)
title by joy
write by 99/2009/09/02




みゅの赤也役の子が声優務めたゲームの別キャラ曲聴いてたら、出来た。
最後の一文がちょこっと言い回し変えた歌詞です。
なんとも言えない感じで申し訳ない。
もともとこういう暗いの考えるの好きです。



prevnext

back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -