短編 | ナノ

 晴れ+休日=デート日和



人間、無意識にしてしまう行動というのは止められない本能のようなものだ。

そして、それは必ずと言っていいほど、やってしまってから後悔する。



「そんなの蓮二さんの場合だけですよ」

「姉さん…俺の心を読むのは止めてくださいと何度言ったら」

「心なんて読んでません。それより良いんですか?早く出ないと彼女さんとの待ち合わせに遅れてしまいますよ」




目の前で呆れた顔をする姉から視線を外し、時計を確認すれば、黒井の家に行く為に出ようとしていた時間だった。

時折、自分の姉が精市と同種類の人間ではないかと思うのだが、追求はしたくないのが、本音だ。



「行ってきます」

「行ってらっしゃい、蓮二さん」



にこやかに俺を送り出した姉が精市と同じ笑みを浮かべていたなんて俺は絶対に見ていない。



「柳、おはよ」

「黒井か。家で待っていてくれと言った気がするんだが」



そう言って、俺より遥かに低い位置にある顔を見れば、恥ずかしそうに視線を外す黒井がいた。



「お母さん、柳のこと見たら、絶対に騒ぐから…それに、…照れ…るよ」



今、ここで抱き締めるのは反則だろうか。

普段、仁王を手玉に取れる程、頭は切れる彼女が、こと、俺のこととなると、途端に思考を鈍らせる。



「今日は買い物に行くんだったな」

「うん!お昼はこないだのパスタ屋さんね」

「あぁ」



手を繋いで歩き出してから、自分が手を繋いでいることに気付いた。

今更ながらに不自然に手を繋がなかっただろうかと不安になるが、チラリと見た黒井の頬が少し緩んだうえに染まったいることに気付いて、こちらまで嬉しくなった。



「音子」

「なに…って、柳、今、なまっ」

「それらしくなるのも悪くないだろう」



フッと笑みを作り、音子に笑いかけた。

悪いな、お前がこの笑みに負ける確率は97、4パーセントだ。



晴れ+休日=デート日和
(「れれれれ蓮二っ!」(まるで箒を持ったオジサンのようだな))
write by 99/2009/06/18




柳が最後に心の中で呟いたのは、おっでかけですかぁ?レレレのレ〜ってあれです。
ジェネレーションギャップがあったらイヤだなぁ。
国民的キャラクターだと思ってるんですが。
でも、多分、真田は知らないと思う。
最初はスプーンであーんを無意識にやってのける柳が書きたかったのですが、手を繋ぐしかできなかった。
姉がね、黒かった…!
予想外だぜ。
妄想柳姉は柳と正反対でちっちゃくて可憐で天然な可愛い系だと思ってます。
自分とは反対の姉が心配で堪らない柳は絶対に姉をテニス部に近付けない。
で、うっかり仁王とかに捕まっちゃえばいい。
柳の心配は絶えません。
でも、赤也とかに捕まっちゃった場合、柳はほわほわとペットを見る目で温かく見守ってくれそうだ(笑)



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