短編 | ナノ

 水曜日の放課後デート



チャイムが鳴り、騒がしくなった教室で寝起きでぼんやりと黒板を見ている宍戸に近付いた。



「宍戸、爆睡だったね」



苦笑しながら言えば、宍戸はばつの悪そうな顔で



「悪かったな」



と、呟いた。

それがなんだか“らしく”て、笑いを誘う。

チラリと宍戸の下敷きになっていただろうノートを見れば、真っ白に近い状態で所々に走り書きがある程度だった。



「そんな宍戸君にこれ」

「あ?」

「さっきの時間のノート。いる?」



ニッと笑ってそう言った瞬間、まだ眠気と戦っていたような宍戸の目に光が宿った。



「サンキュー!黒井」



受け取ろうとする宍戸の手が届く前に、ヒョイッとノートを避けた。



「ベーコンポテトパイ」

「は?」



訳が分からないとでも言うような表情をする宍戸。

眉間には皺が寄っている。



「だから、マックのベーコンポテトパイ」

「メニューからなくなったヤツじゃねぇか、それ」

「期間限定で出てるの!」

「それを俺に奢れって言うんじゃねぇだろうな?」



返事をする代わりに、ニッコリと笑って頷いた。



「わかったよ」

「うそ!?」

「今日の帰りな」

「やった!!ありがとー、宍戸」



思わず、ガッツポーズをする。

それに宍戸が微かに笑っていた。




水曜日の放課後デート
(「あれ?宍戸と黒井じゃん」「げ、向日…」)
write by 99/2008/11/01





付き合ってるわけじゃないけど、付き合うまであと少し的な距離感が出てればと思います。
帰りに寄ったマック(織は関西人なんでマクドっていいますが)で、岳人と慈郎、2人に付き合わされた忍足と遭遇します。
次の日から宍戸は部内でからかわれ続けます(笑)
んで、好きで悪いか!!ってキレたらいい(ぇ)


ただ織がベーコンポテトパイを好きだという話です(違)



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