◎ 甘えたがりクールボーイ
誰がそう決めたというわけやない。
ただ、俺がそう決めただけや。
「侑、何か飲むー?」
そう言うて彼女が自分用に取り出してんのは見慣れた缶ビール。
「ビール」
「こら、未成年」
コツリとジュースの缶を頭に当てられる。
ニマニマ笑う音子さんの手には、ビールの缶。
おっさんみたいなトコあるけど、別嬪さんやし、可愛ぇ。
「音子さん」
「で、今日はアトベくんか?ガクトくんか?」
出てくる俺以外の名前は俺がよぉ口にする名前。
4コ年上の音子さんは氷帝の大学に通っとる。
年上の所為か、俺はいつも愚痴を零してまう。
普段、伊達眼鏡で区切っとる世界を、音子さんには晒してまう。
「ん?」
答えを促すみたいに、抱きついた俺の髪を梳く。
「違いそうだね。ってことは試合かな?」
ビクリと肩が揺れてもうたんに、音子さんは気付いたやろう。
それでのうても、この人は聡いんやから。
「侑士ぃー?」
「なに?」
髪を梳いてた音子さんの手が、俺の頭を撫でるみたいに叩く。
「負けてもいいよ。敗者切り捨ての氷帝で負けは許されないって知ってるよ?でもさ、侑士は一回くらい負けときな」
「なんで?」
フフッて、笑う振動が伝わった。
「負けて学ぶことは、勝って学ぶことよりも多いから」
顔を上げて、音子さんを見やったら、にこやかに笑っとった。
「なぁ…」
「なに?」
「今日、泊まってもかまへん?」
甘えたがりクールボーイ(明日に備えて、もうちょい甘えさせてや)
write by 99/2008/05/16
関西弁が愛しかー(何県民)
いや、普通に関西人ですけどね(苦笑)
むしろ、県民じゃなくて府民です。
おっしぃは年上キラーだと思うんだ、うん。
教育実習の先生なんかに本気で恋してりゃいいとか思うよ。
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