お題 | ナノ

「なんだ、やっぱりね」(*仁王雅治)



憧れの君、仁王先輩と付き合って二週間。

これ以上ないってくらいドキドキしながらした告白以上に毎日がドキドキ。

今日も仁王先輩を見るために、テニスコートを目指す。


「もうそろそろ二週間だろぃ?」

「そうじゃっけ?」


聞こえてきたのは、彼氏とその友達の声。

頭の中で警鐘が鳴る。


「どこまでいった?」

「全然。キスもしちょらん」

「つまんねーじゃん」

「別に。遊びじゃけぇ、SEXさせてくれるやつは他にも居るし」

「ひっでぇの」


酷いと言いながら、丸井先輩は笑い転げる。

テニスコートに向かう道を引き返す。


「なんだ、やっぱりね」


私の呟きは風にかき消された。



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