お題 | ナノ

じゃ､改札で待ってて(仁王雅治)



電車の中で携帯のｻﾌﾞﾃﾞｨｽﾌﾟﾚｲを睨む｡
いや､見つめるだけなんだけど､傍から見たら睨んでるように見えると思う｡


｢あ…｣


ｻﾌﾞﾃﾞｨｽﾌﾟﾚｲの少し上のLEDﾗｲﾄが黄色にﾁｶﾁｶ光って､ﾃﾞｨｽﾌﾟﾚｲは待ちに待った彼からのﾒｰﾙを告げる｡


｢あと3分｣


急いで開けたﾒｰﾙはそれだけ打たれていた｡


――――――


ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ


ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞに設定した携帯がﾊﾞｲﾌﾞ音を発し､ｼﾞｰﾝｽﾞのﾎﾟｹｯﾄで震えた｡


｢『こっちもあと5分くらい！ｺﾞﾒﾝ､改札で待ってて!!』…のぅ｣


絵文字も何もないﾒｰﾙじゃが､彼女がどんな顔して打っちょったか想像がついて､頬が緩んだ｡
彼女出てくるじゃろう改札を視界に入れて､俺は柱に背を預けた｡
彼女が息を切らせて走ってくるだろう時間まで､あと2分ちょい｡




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