お題 | ナノ

永遠を望んだわけじゃない(白石蔵ノ介)


※五十音お題「やっぱりやめた!」と対になっています。


「なぁえぇん?あの子」

「えぇんや」


言葉とは裏腹に、少し遠くで1人歩き出す彼女に胸が痛ぁなった。
自分でも阿呆やと思うくらいにスマートやないアタックをし続けてやっと付き合うた彼女。
1年の終わりから付き合うてたから、結構長い間一緒に居るわけやけど、その間、彼女の我儘を聞いた記憶は一つもあらへん。


「白石、考え直すんやったら今やで?」

「今からでも追っかけた方がいいわよ?」

「絶対傷付いてんで?あの子」


謙也と小春、ユウジが口々に言う。
どんな言われたかて、考え直す気も起きん。
今更や。


「女の子は繊細なんやで?」


ポツリと小春が言うた言葉がズキリと突き刺さる。


(いつまで待っとってくれるんや?)


約束を違えた瞬間から付き合うて貰える資格を失った俺。
永遠を望んだわけやない。
ただ、一緒に居たいて言ってもらいたかっただけや。



(c)こなゆき