お題 | ナノ

好きならそばにいればいいじゃない(丸井ブン太/対)



※「きみが好きだから、バイバイ」と対になってます。


「丸井と別れたーっ?」


驚いた親友の声は教室中に響いた。
幸いなのは、放課後で人がいなかったことかもしれない。


「なんで?どーして?」

「落ち着いてよ」

「これが落ち着いていられる状況!?」


彼女が私達2人を見守ってくれていたのは痛い程良くわかる。
いつだって、私がブン太と居れるための協力をしてくれていたから。


「どっちが言ったの?」

「ブ…ま、丸井君」

「あの男…」

「丸井君は悪くないよ?多分ね、判ってたんだよ」

「なにが?」

「いつかこうなるって」


虐められても、ブン太には言えなかった。
きっと別れようって言われるから。
自己中に見えて、意外と優しいのを私は知ってる。
そんなブン太だから、私に危害がないように、守る為に、別れようって言うんだって、判ってたんだ。
優しいよね、ブン太は。
最後は自分が悪役になろうとした。


「ねぇ好きならそばにいればいいじゃない。それじゃ駄目なの?」


彼女の言葉に泣きそうになった。


「駄目なんだよ。それじゃ、ブン太の行動が無駄になる」


いくら綺麗事を並べても、心はずっと同じことを思っていた。


(どうして、一緒に居られる道を選んではくれなかったの?)





(c)こなゆき