お題 | ナノ

触らないで、おかしくなる(白石蔵ノ介)



「なぁ」


白石の声にビクリて肩を揺らす。


「なぁて」


話しかけられてるんが自分やという自覚はある。
やけど、振り返ることなんせぇへんで、シカトする。


「聞こえとるやろ?」


そう言うた白石の手が肩に触れた。


パシンッ


白石の手を思い切り振り払う。
そんまま、私は白石の前から走り去った。
今にも流れ出しそうやった涙を堪えて。


(触らないで、おかしくなる…貴方が好き過ぎて)


(c)こなゆき