お題 | ナノ

憂鬱な休日(丸井ブン太/未来)



目の前には愛すべき妻と娘。

娘は楽しげに積み木で遊ぶ。

俺は妻と二人、そんな娘を愛しげに見守り微笑んだ。


「ぱぱぁ、いっちょしよぉ?」


拙い言葉遣いで誘う可愛い娘の誘いに、娘と共に積み木を積む。

砂みたいに崩れることはないのに、積まれていく積み木に遠い過去の記憶を思い起こした。


『砂の城なんて子供みたいだよ?』


そう言いながらも、結局、最後には彼女の方が夢中になっていたんだ。

彼女の自由さが好きで、彼女の強がりなトコロも、素直じゃないトコロも、大好きだった。

今も変わることのない俺の気持ち。

それを隠し通す為、俺は手元が狂ったフリをして積み木を崩した。


「ぱぱぁ!!」

「もうあなたったら」


娘が怒り、妻が苦笑しながら近付いてきていた。


『ねぇブンちゃん、幸せに…幸せになってね』


悪ぃ。

お前じゃなきゃ、幸せにはなれねぇよ。




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