お題 | ナノ

非常識な常識(氷帝)



「喧嘩押し売りされた」


そう言うて、部室に入ってきたんはマネージャーやった。

その頬は叩かれたんか、少しばかり赤く染まっとる。


「痛そーだな」

「群がるな、向日!」


興味深そうに近付いた岳人に一喝して、彼女はテキパキと救急箱を取り出して、頬に湿布を貼った。


「おい」

「なによ、跡部」

「カードで買えねぇもんは売られても買うんじゃねぇよ」


部室が静まり返ったんは、当たり前なんかもしれん。

ツッコミ入れた方がえぇんか?

視線でたまたま目ぇ合った宍戸に訴えたら、肩竦められた。


「跡部」

「あーん」

「そんな非常識な常識は今すぐに捨ててきなさい!レギュラーも含めて、部員…いや、全世界中の人に迷惑よ!!」


言い切った彼女に賞賛の拍手を贈りたいて思たんは俺だけやないはずや。




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