お題 | ナノ
チョコレートみたいな、(柳蓮二)
チョコレートは疲労回復と栄養補給にいいのだという。
そして、多く摂取し続けることにより、麻薬のような中毒性も出る。
「柳君、お疲れ様」
「あぁお疲れ」
「今日も部活あったんでしょう?ごめんね、私の仕事に巻き込んじゃって」
「いや、構わない」
「優しいよね、柳君はさ。あ、良かったら、食べて」
そう言って彼女が差し出したのはチョコレート。
「苦手じゃなかったら、どうぞ。疲れた時には甘いもの、でしょ?」
「一つ頂こう」
包みを開けて茶色いの欠片を口に含む。
咥内で程良い甘さが広がり、欠片は溶けてなくなる。
「じゃ、私はこれ提出してくるから。お疲れ様」
ポンッと肩より下の肩甲骨の辺りを叩かれ、彼女が生徒会室のドアを開けて去っていく。
彼女の触れた辺りがじんわりと熱く熱を持ったようだった。
口の中に残ったのも、耳に残ったのも、どこか甘い。
「チョコレート中毒か…」
疲労回復と栄養補給に優れ、中毒性を持つそれは、彼女そのもの。
(c)A.M 0:00
|
|