お題 | ナノ

ふんわりとした髪[千歳千里]



「ちーちゃん先輩!」


コートで見つからんかったちーちゃん先輩を裏山で見つけた。
樹の根元にゴロンて横たわとっる姿は、知らん人が見たら、警察に通報されそうや。
死んだと勘違いして。


「どげんしたと?」

「えぇ加減関西弁喋ってくれませんか?」

「無理たい」


即答かい。
ちーちゃん先輩はおもろい。
このおもろさは天然やからしゃぁないけど。
ちーちゃん先輩こと千歳千里先輩は中途で転校してきた九州男児。
その口から出てくるんも、当然ながら九州弁。
生まれも育ちも関西、バリバリの大阪人なウチにしたら、標準語よりちーちゃん先輩の言葉ん方が難解や。


「こっち来んね」

「なんですかー?」


ちーちゃん先輩に合わせて、根元に座り込んだら、ウチの太股にちーちゃん先輩の頭が乗った。
セ・ク・ハ・ラーっ!!
いや、冗談やなしに。


「ちーちゃん先輩、ちょぉ何してはるんですか?」


ちーちゃん先輩を真っ直ぐに見下ろしたら、ちーちゃん先輩の顔がこっち向いとって、視線が合った。


「ん、むぞらしかね」


これは知っとる。
めっちゃえぇ笑顔でこんなん言われたら、文句言えん。
ちーちゃん先輩がお世辞言えるほど器用やないん知ってるから。


「ちーちゃん先輩、おやすみなさい」


寝てしもたちーちゃん先輩のウチの太股に乗っとる頭を少しだけ撫でた。




ふんわりとした髪
(そっと、風にあそばせて)
(c)ひよこ屋