お題 | ナノ

寂しそうに微笑む[幸村精市]



「真田、苦労をかける」

「うむ。幸村なしでも勝ってみせる」

「そう」


真田先輩の後ろから見ていた幸村先輩の笑顔が、悲しく見えた。


「真田先輩、先に行ってもらえますか?」

「あぁ」


真田先輩が出ていくのを確認して、幸村先輩に向き合う。


「先輩、先輩が帰ってくるまで負けないって先輩達はみんな必死です」

「うん」

「幸村先輩が必要です」

「!?」

「幸村先輩が居なくても勝てるってわけじゃないんですよ。幸村先輩が居ないから、だから、みんな必死なんです」


驚いた顔をした幸村先輩が優しく微笑みを浮かべた。


「有難う。俺達のマネージャーは本当にいいマネージャーだ」

「ありがとうございます。そろそろ行きますね」

「あぁ本当に有難う」

「いえ。今度はみんなで来ます。切原君が幸村先輩に会いたがってましたから」


そう言って、病室を後にした。



寂しそうに微笑む
(いつも心は矛盾したまま)
(c)ひよこ屋