お題 | ナノ

お祭り屋台の看板娘(仁王雅治)



「真ん中当てたら賞品はいらんけぇ、お願い聞いてくれん?」


銀髪金眼の詐欺師はそう言うて私に微笑みかける。


「別にえぇよ」

「ホンマやの?」

「女に二言はあらへんよ」


関西から出てきて三年。
テキ屋やるようになって一年半。
そんな新米のうちでさえ、この詐欺師の噂は聞いたことがある。
ていうても、えぇ話なんひとっつもあらへん。


「じゃあ」


ヒュンッと、ダーツが投げられる。


「俺と付き合うて?」


ド真ん中に命中したダーツを見て、詐欺師はニヤリと笑った。




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