お題 | ナノ

スイカ割り真剣勝負(仁王雅治)



「右じゃ右」


みんなの声が聞こえる中、仁王の声が耳に入った。
目隠しをした状態の私はいつもよりも聴覚が鋭くて、はっきりとその声を拾う。


「もっと右〜」

「左だよ」

「そんまま振り下ろしんしゃい」


様々な方向に行かせようとする声を無視して、仁王の言った通り振り下ろした。


バンッ


手応え充分。
良い音がした。
目隠しを外せば、綺麗にスイカが割れていた。
へへっと笑って、もう一個のスイカを用意するみんなを後目に、ニヤニヤ笑う仁王の横に並ぶ。


「よぉ俺の指示に従う気になったのぅ」

「だって、仁王、私には嘘吐かないから」


珍しく仁王のポーカーフェイスが崩れた。


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