お題 | ナノ

さよなら、見送る火(幸村精市)



おがらが燃える。
煙が天に昇っていく。


「この煙に乗って逝きなされ」


おばあちゃんが呟いた。


「また来年、おかえんなさい」


隣に立つ精市兄さんの手をギュッと握った。
毎年、送り火にいい思い出なんてない。


「大丈夫だから、ね?」


そう言った精市兄さんにコクリと頷いた。


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