お題 | ナノ

いつか、夏空の果て(跡部景吾)



わーわーと騒がしい会場で、未だに響き渡る氷帝コール。
力強く氷帝、氷帝と繰り返すその声にひよは目に溜めた涙を流した。
それにレギュラーはひよの健闘を称えた。


「跡部」

「あーん?」


声は返ってきたけれど、跡部が振り向く様子はない。
知っている。
跡部は試合には勝った。
けれど、それが望ましい形ではなかったことくらい、理解している。
だからこそ、泣いてしまったひよよりも誰よりも心配だった。


「お疲れ様、跡部部長」

「あぁ」


私達の夏の終わり。


(ただし、これは全国いきが決まるまでの戯言)




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