6話
何故か私が柳君と共に三井さんに話を聞きに行くことになりました。
いつもなら、面白そうだと真っ先に名乗る仁王君も丸井君も名乗り出なかったからです。
私達が三井さんのクラスに行くと、聞いていた話とは違った光景がそこにはありました。
三井さんを噂でしか知らず、直接見たことのない私にはそれが三井さんなのかはわかりませんでしたが、見たことのない方でしたので、間違いはないでしょう。
「柳君、あの方が?」
「ふむ。丸井は嘘を吐いていたようだな」
「何故、丸井君はあんな嘘を?」
「丸井の考えはわからんが、三井に訊きたいことがあって来たことに変わりはない」
「そうですね」
柳君の視線はどうやらその三井さんに向かっているようですね。
「君、三井さくらさんを呼んでいただけますか?」
手近にいらっしゃった女生徒にお願いすると、丸井君に何かを話し終わったのか、次の授業準備をし始めていた三井さんらしき方がこちらを向いた。
ぼんやりとこちらを向いた丸井君のついていた肘がずれたのは、私達に驚いたからでしょう。
その様子に丸井君に私達のことを訊いたのか、三井さんが立ち上がってこちらに向かってきてくださいました。
その姿は極普通の子で、何故かこれから関わることが彼女にとってとても良くないことに思えました。
もし
過去をやり直せるのなら、
私は
貴女が私達に
出会わないようにしたい。
知らぬ街に降る雪は
Side:Hiroshi