25話




エントランスまでのエレベーターは息が詰まりそうだった。

三井は微笑みを浮かべてたが、空気は重い。

こういう時、ブン太と赤也がどれだけ明るいのか思い知るぜ。


「3人とも今日はごめんなさい」


ポツリと呟かれたような小さな声は三井のものだった。

セリフとともに下げられた頭は上がらない。


「三井さん、謝らないでください」

「そうだ、顔をあげろ」


柳生の言葉に、真田が同意した。

茫然と見ているしかなかった俺も口を開く。


「むしろ、謝らなきゃなんねぇのは俺達だぜ?」


そうだ。

謝らなきゃなんねぇのは俺達だ。


「三井さんの気持ちも考えずに申し訳ありませんでした」


三井は傷付いただろう。

俺達の無神経な干渉によって。

本来なら三井は仁王を避けて通ろうとしていた。

それなのに俺達はムリヤリ三井に近付いて、過去を暴こうとして、三井を傷付けた。

キレられてもいいようなことをした。

罵られても当然のことをした。

それでも、三井は俺達を罵らなかったし、逆に謝ってきた。


「三井、すまなかった」

「悪かったな」


謝ろう。

たとえ、三井が不必要だと言おうとも、俺達は謝ろう。

三井を傷付けて悪かった、と。




俺達の前には

ただ優しすぎる

少女がいた



知らぬ街に降る雪は
Side:Jackal




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