20話
あまり見たくないと思っていたのに、一度視線を合わせると、目が反らせなかった。
雅治くんにそっくりな仁王君。
「俺か?」
「きっと…違う、絶対かな。いい気分はしない」
不思議そうなテニス部に少しだけ笑んだ。
「三井」
「?」
「嫌なら話さなくていいぞ」
柳君は優しいのかもしれない。
クラスに訪ねてきた時はそうは思えなかったんだろうけど。
「気にならないと言えば、嘘になる。だがな、俺達は無理に聞き出したいとは思わない」
優しいというより、柳君は正直なんだ。
「個人的には聞きたいと思うけどね」
「ムリはさせたくないッス」
「そうだな」
「柳と赤也の言う通りだぜぃ」
「倒れる原因を作ってしまった私達が言うことではないのですが、ムリはしないでください」
丸井君以外は今日はじめて話したのに、みんな優しい。
「話すよ」
きっぱりと言った。
いつまでも引き摺るだけじゃいけないから。
話さなかったのは
認めたくなかったから
想いを
否定されたくなかったから
知らぬ街に降る雪は
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