16話
綺麗に整頓されていると言えば聞こえはいいが、三井の部屋はどこかもの寂しささえ感じる。
はっきりと言えば、物が少ない部屋だった。
前に幸村に連れて行かれた仁王の部屋を彷彿とさせる。
「お茶淹れてきます」
「お構いなく」
キッチンに向かう三井の背中に柳生が言う。
静かにその背を見ていた幸村が、柳に視線を移す。
「彼女、ここに1人なんだ」
「精市」
「やっぱり、そうッスよね」
交わされた会話に首を傾げる。
柳に観察力がいい、幸村も“何か”と不思議な存在なのだから、いいだろう。
何故、赤也まで気付いている?
「あ、靴がなかったんスよ。家族の靴って出掛けてても、一足くらいあるじゃないッスか」
なるほど。
注意力散漫な赤也にもそれくらいはわかったか。
「なんだか、淋しいな、この家」
幸村の言葉に胸が痛くなった。
後悔というものをしたのは
後にも先にも
お前に対してだけだったかもしれない
知らぬ街に降る雪は
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