15話
「ここです」
三井先輩が立ち止まったマンションを見上げて、俺達は固まった。
立海から徒歩で数分、立海の生徒からしたら、最高の立地条件。
そんな場所に三井先輩の住んでるマンションはあった。
あれだ、あれ。
俗に言う億ションてやつだ。
「あれ?さくらちゃん、お友達?」
「はい。ちょっと騒がしくなったらすみません」
「気にしないで。ウチなんて、いっつも煩いでしょ?」
「いえ」
同じマンションの住人らしい人と喋る三井先輩は、さっきの三井先輩とがうまく一致しなかった。
「どうぞ」
扉を開いて、振り返った三井先輩の足元、玄関には靴が一足もなかった。
先輩の孤独、
わかってやれる存在になりたかった…
なんて言ったら笑いますか?
知らぬ街に降る雪は
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