10話






『本日は妻の葬儀に参列いただき…』


喪主の挨拶をする雅治くんの横で、私はぼんやり参列者を眺めていた。

手にはお母さんの遺影。

雅治くんの隣で本当に嬉しそうに笑う母を拡大した写真だった。


『嫌だ、燃やさないで』


気付いた時には、火葬場に着いていて、そう叫んでいた。

お通夜の席でも、告別式でも、泣かなかった私が泣いて叫んでいた。


『さくちゃん』


雅治くんの声が聞こえて、温かい何かに包まれる。

雅治くんに抱き締められていると気付くのに時間はかからなかった。


『さくちゃん、これからは俺が君を守るから』


意識が、遠退いた。

私はまだ雅治くんといたいのに。





守るって

何から守ってくれるつもりだったの?


一緒にいてくれるだけでよかったのに




知らぬ街に降る雪は
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