8話




できることなら、三井にはテニス部の奴らは関わってほしくなかった。

あいつの、あの、仁王を見る目が悲しくて、きっと俺達が関わったら、もっと悲しませるんじゃないかって思ったからだ。

そんな俺の想いは虚しく叶わなかった。

机にうなだれた俺の目線の先で、柳と柳生が三井と喋ってる。


「なんだ、あれ」


三井の様子がおかしかった。

愛想のいいあいつににしては珍しく愛想が悪いようにも思う。

それ以上に、浮かべてる表情が変だ。


「え?」


まだ柳達は居なくなってないのに、三井がこっちに戻ってくる。

その顔はいつもと比べものにならないくらい、今にも泣き出しそうな悲しい顔をしてる。

ふらり。

急に顔色を悪くした三井が、傾く。


「三井!?」


机が派手な音をたてて、三井は床に倒れた。




悲しませたくないと思うほどに

君を

悲しませてしまうんだ



知らぬ街に降る雪は
Side:Bunta




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