7話
逆光眼鏡というものをはじめて見た。
私を訪ねてきたのは、丸井君の部活仲間で柳生君と柳君というらしい。
眼鏡で優しそうな人が柳生君。
涼しげな細目で美人さんが柳君。
2人とも悪い人ではなさそうだけど、私の頭の中では警笛が鳴り響いていた。
「私に何か?」
「三井の興味深いデータがとれてな」
「データ?」
「あぁ」
頷いた柳君に、疑問符が飛ぶ。
「君は三井という名字じゃないだろ」
警笛を無視しなければ良かった。
「そのお話はしたくありませんので、失礼します」
あんまりな言い方だったかもしれない。
それでも、彼らと話をするよりは良かった。
『さくちゃん』
彼らに背を向け、自分の席に向かう途中、頭の中であの人の声が響いた。
どうして
人は
人を
傷つけずにいられないんだろうか。
知らぬ街に降る雪は
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