03
前世の記憶を引き継いで生まれてきたのは、アイツに償う為なんじゃないか。
それはアタシだけじゃなく、裏世界の見解だ。
なのに、アイツときたら、匂宮にはいねーし、裏世界の何処にも存在しねぇ。
零崎くんなんかは、相変わらず放浪してる癖に、アイツを捜してるらしい。
元々アイツは万物親愛で愛されていた。
それこそ、ポッと出の自称人類最愛が陥れていいような存在じゃなかった。
アタシはアイツを捜してる。
今度こそ失わねーように、傍に置いとかねぇと落ち着かねぇんだよ。


「って言ったって、ホントにアイツは居んのかねぇ」


ふと見た公園は、真っ赤だった。
児童公園にあってはならない光景。
アタシは見慣れた光景。
近付いてみれば、真っ赤な中に女の子がいた。
明らかに強姦されましたって格好の女の子は、生きていた。
獣が食い荒らしたかのようなこの現場で、女の子は生きていた。
眠っていた。
アタシはその女の子がアイツ、ちやたんにしか見えなくて、とりあえず抱え、玖渚ちんに連絡する。
まずは病院の手配が先だ。
この女の子がアイツであってもなくても、死なせたくねぇ。

「生きろよ」


アイツに似た人間が死ぬなんてさせるか。
少なくともアタシの前では絶対に。
コブラを走らせて、玖渚ちんに手配させたドクター、絵本園樹がいる病院に運び込む。
ドクターは真っ青になりながら、女の子を連れて行った。
処置中のランプが灯って、アタシはベンチに座った。
らしくない、神に祈るなんて行為をして。
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